突発的魔法少女
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った。
「つ、次に行こう。」
気を取り直し、他の部屋を探索する。
しかし、一階と二階の全ての部屋を巡っても、そこに人が居た痕跡など一つも見当たらなかった。
唯一人間が居たのだろうなという証拠は、リビング奥にあったキッチンにしか無かった。
それにしても、冷蔵庫の中にあった水のペットボトルと大量の札束だけだったが。
そう、札束だ。一応確認したが全て本物、番号も違うし透かし彫りもしっかりしている日本円だ。
素人目の判断なので真偽は分からないが、一束ずつが紙テープで巻かれた万札が冷蔵で冷やされている。
ますますこの家のことが分からなくなった。状況が不可解過ぎて、私の頭は混乱しきっていた。
どうやらこの体の持ち主は、相当エキセントリックで愉快な思考の持ち主であったらしい。
もってまわった言い回しを使わなければ、○○○○と言っていい脳みその持ち主だ。
私は五百ミリリットルの水を一気に飲み干し、体内に篭もる熱の冷却を試みた。
茹った頭では、まともな解決策など浮かぶまい。冷静になるのだ、私よ。
喉を通り胃の腑に落ちた水が溜まり、その冷たさにぶるりと震える。
よし、寝よう。
見せ掛けだけの冷静さを取り戻した私は、これ以上現実について考えることを放棄した。
キッチンの隅にあったゴミ箱に手元のペットボトルを投げ入れ、リビングのソファに横になる。
精神、肉体、共に疲れ切っていたからか、睡魔はすぐに訪れた。
目を瞑ればそこに安息がある。それが、たとえ一時の逃避に過ぎなくとも。
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