暁 〜小説投稿サイト〜
あー、君。今日から魔法少女ね。
突発的魔法少女
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れた。ほっといてくれ、今忙しいんだ。
「ほっといてくれと言うけれど、使い終わったグリーフシードをどうするつもりなんだい?
まさか、何の利益も無いのに魔女と戦うつもりかい?」

 何だと?グリーフシードと言ったのか、この意味不明生物は。
私は自分の体をまさぐり(誓って余計なところに触れてはいない)、指先に触れた硬い感触を掴み出した。
見滝原中学っぽい制服のポケットに入っていたそれは、ドス黒く濁った空気を纏っている。
これが、グリーフシード。間近で見る恨みの結晶とも言えるものを前に、私は息を呑んだ。
いずれ私も、コレになるのか。世界を恨み、己の願いを恨み、全てを呪い続ける魔女に。
そして、あっさりと刈り取られて魔法少女の儚い命を繋ぎ、キュウべぇに処理される。
それはあまりに悲惨で、救いの無い未来だった。背筋に怖気が奔り、思わずグリーフシードから手を放してしまう。
「おっとっと……、きゅっぷい、危うく落とすところだったよ。」
 諸悪の根源はあっさりと私の足元に歩み寄り、背中の楕円を開いて魔女の卵を飲み込んだ。
「ふう、それじゃあ僕はもう行くよ、僕との契約を必要としている少女がいるかも知れないからね。
じゃあね、しおみまさき。また会おう。」
 そう言って去っていく背中を、私はただ見送ることしか出来なかった。

 その後、私は数分間辺りを彷徨い続け、偶然発見したスクールバッグの中身を確認。
周辺に学校らしき建物が無いため、もしやと思い中を探れば、そこにはまさきの生徒手帳が入っていた。
汐海真幸。真なる幸福と書いてまさきと読むらしい。まぁ、彼女の辿った道筋を想うと、名前負けも甚だしいが。
いったいぜんたいどうして彼女は、あんな外道との契約に踏み切るに至ったのやら。
一人で思考しても、さっぱり原因など分からない。分かる筈もない。
 結局、私は生徒手帳にある住所を探して数時間そぞろ歩き、やっとの思いで帰宅(訪問?)するのであった。

「ただいまー……。誰も、居ないのか?」
 バッグにあった鍵を使い玄関を開けてみたが、屋内は真っ暗である。
外から見て明かりのついた窓も無かった為、この家は真幸以外の人間が住んでいないのかも知れない。
家に入って内鍵を掛け、近くにあった電灯のスイッチを押してみる。
ゆっくりと明かりが灯り、玄関と廊下が人工の光に照らされる。
私はローファーをぬいで室内を探索することにした。
まずはリビング。味も素っ気もないフローリングが広がっており、一つも物が落ちていない。
家具はたった一つ、真っ白なソファのみ。それ以外はテレビも机も無い。
「殺風景だな……。」
 呟いたのは、生活感の無い空間が妙に冷たく感じられて、恐ろしかったからだ。
せめて声を出していなければ、無音の重圧に耐えられる気がしなか
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