第三幕その七
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は何も知りません。それなのに何を言えと仰るのです!?」
トスカは必死に否定しようとする。だがそれをスカルピアは次の言葉で打ち消した。
「流石に名の知れた女優だけの事はある。愁嘆場もお上手だ。しかし先程貴女も聞かれた筈です。子爵の『まだ大丈夫だ』というお言葉を。そしてそれがどういう意味かも」
トスカの顔が凍りついた。それを確認してスカルピアは続けた。
「これはアンジェロッティ候の居場所が何処か知っておられるという事の証だ。そしてそれを知っているが何があろうとも言わないという事だ。子爵だけでなく貴女も」
完璧であった。後は追い詰めていくだけであった。
「さあ言いなさい。何処に隠れているのです?」
「あ、ああ・・・・・・・・・」
「ぐっ・・・・・・・・・」
その時部屋から聞こえていたカヴァラドゥッシの声が止まった。気を失ってしまったのだ。
「起こせ」
すぐにスカルピアは言った。そしてトスカに顔を向けた。
「貴女が話されれば貴女も貴女の恋人もすぐに自由になれるのです。さあ早く話しなさい」
次の一手を打った。トスカの心が動いた。否、動いてしまった。
「あの人に会わせて。全てはその後で・・・・・・・・・」
黒い瞳が大きく見開かれたその顔は今にも割れんばかりであった。ハァハァと肩で息をしている。
「コロメッティ、どうだ?」
スカルピアはあえてそれを無視した。何も無かったかのように隣の部屋の者達に問う。
「息を吹き返されました」
コロメッティの声がした。カヴァラドゥッシの意識が戻った事を知りトスカは少し胸を撫で下ろした。
だがもう限界であった。隣の部屋へ行こうと立ち上がった。スカルピアはそれを待っていた。
スポレッタに目配せをする。スポレッタは横に身を退けた。
廊下を駆けトスカは隣の部屋に入った。部屋の中を見た時トスカは危うく気を失いそうになった。
部屋の中には数本の燭台に照らされ十人近い男達がいた。
黒い制服の警官達が椅子を取り囲んでいた。スキャルオーネやコロメッティもいる。
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