第二章
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第四試合の球界裏だった、九回表に。
一郎は二塁にいた、その彼を見ているのは秀喜だった。
「こいつは若しもヒットが出れば」
その時にだというのだ。
「走る、こいつは足も折り紙付きだ」
機動力もかなりだ。
「ちょっとしたヒットでもホームを狙う」
こう確信していた。そしてバッターは。
引っ張り専門だ、典型的なパワーヒッターなのだ。
「レフトだな。つまりは」
サードにも来る可能性がある、それならだった。
秀喜は身構える、一郎をちらりと見つつ。
そしてバッターを見る、するとだった。
打った、打球はレフトに飛んだ。
「来たな!」
レフトはボールを深く守っていた、ボールはその前の目の前に落ちた。レフトはそのボールをすぐに処理して投げようとするが。
こjの選手の肩は弱い、ついでに言うと外野のレギュラーの中で最も守備がまずい。だからレフトなのだ。
秀喜もこのことは知っている、それでだった。
素早くレフトの前に出た、そしてレフトに叫んだ。
「投げろ!すぐにだ!」
「バックホームか!」
「ああ、急げ!」
後は自分が投げるというのだ。一郎は既に走っている。
彼の足なら確実にホームを手に入れる、だがだった。
一郎はそれでも刺そうとしていた、その肩で。
「俺が刺す!」
「わかった!」
レフトも懸命に投げる、そのボールを受けて。
秀喜はその強肩でホームに投げた、しかし予想通り。
一郎はホームを手に入れていた。やはり間に合わなかったのだ。
だがファンはそこにも見たのだ。
「あいつもやったな」
「ああ、意地見せたな」
「間に合わなくても見せる」
「意地をな」
「そうしたな」
誰もがそこに見たのだ、秀喜の意地を。彼もそうしたのだ。
二人はシリーズで激突した、結果はエースが絶好調で二完封を達成した秀喜のチームが日本一になった。
しかし二人の健闘も目立った、それでだった。
「二人共優秀選手か」
「まあ二完封したエースがシリーズMVPだけれどな」
これは流石に相手が悪かったと言うべきか、秀喜にとって。
しかし二人もだった。
「シリーズ優秀選手か」
「兄弟でな」
「そうなったな、まあな」
「それだけの価値はあるな」
「そうだよな」
その活躍を認められてだ、そして。
野球はそれだけではない、さらにだった。
三月にはワールドベースボールクラシック、WBCがある。この国際大会にもだ。
二人は選ばれた、その記者会見の場でもだった。
まずは秀樹が一郎に不敵な顔を向けて言った。
「同じチームでもライバルだからな」
「うん、そうだよ」
一郎も秀喜にその笑みで返す。共にサムライジャパンの服を着ながら。
「だから負けないよ、兄貴には」
「こち
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