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日本人に生まれた者の全ての仕事を保証する法案についての考察。あるいは追い詰められた人間の選択
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か反対のどちらかを煽るための実験の場なのではないか?」
「お前は、そのために人が一人死んだというのか?」
「いいや。もともと殺人なんか起こっていなかったんだ。狼のセリフがなければ、俺は殺人なんて想像すらしなかった。アンタら二人が口実を合わせられる関係にあって、政府の人間だとすれば、今回架空の殺人をでっち上げることなんか簡単だったろう」
「なるほど。それで、人間くん。君はこれからどうするつもりだ?」
「殺人は行われなかった。それが俺の意見だ。ならばやることは一つだ」
「どうするね?」
「帰って寝る。どうやら仕事で指定された時間はすぎているようだ。本日の仕事はこれにて終了」
俺は肩を落として屋上を後にしようとする。
ただの現実逃避だ。
俺は、罪を逃れる手も罪を軽くしてくれる手をも払い除けた。愚かな行為だ。
でも、だからなんだというのだ。ここにくるまでの人生、地獄の一歩手前まできたのは俺の意志だ。俺が今まで生きて選択してきた結果だ。
地獄に落ちるのにわざわざ人の手を借りることもないだろう。
「おい、君。待てよ」
振り向くと、二人の男は初めて表情を崩している。浮かぶのは笑みだ。苦笑いに近い。
「うぅん。見事不正解だ」
「まぁ、しかし。合格だ」
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