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日本人に生まれた者の全ての仕事を保証する法案についての考察。あるいは追い詰められた人間の選択
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もあるし、まだ統制がとれていないところもある。少なくとも、君に爆弾を持ってもらう仕事をして欲しい訳じゃない」
 くそっ。どうして今になってこんな情報が出てくるんだ。顔を隠してうずくまってしまいたい。
 落ち着け。男の真意はどこにある。爆弾を持たせるようなことはしないから、こっちにこいと言っている。
 犬について行って殺人犯の汚名をいただくよりかは、狼についていった方が未来はありそうではある。だが、どうしても狼の言葉は落とし穴に誘導しようとしているように聞こえてしまう。
「ふん。テロリストの言う事なんか信じられるものか。それより、私と取引をしよう。安心しろ。何年も刑務所に入れようってわけじゃない。すぐに釈放する。君さえよければ顔を変え、新しい名前を作ってもいい。新しい人生を始めるんだ」
 狼が犬と向かい合う。
「善良な市民を前にずいぶんな言い方をしたじゃないか。ついさっきまで人を豚扱いし、あまつさえ彼には罪がないというのに。罪がない人間の名前と顔を剥奪する行為がまるで当然のようなふるまい。とんでもない放漫さを感じるよ。とても、許されることではない」
「黙れっ! お前らゴミなんだよ。だっていらないだろ。お前ができることは全部、機械ができるんだから。しかもより素早く、正確に」
 たまらず言い返す。以前より薄々感じていた不安が爆発しそうだった。
「なんでお前にそんな事言われなくちゃならない。俺たちには生きる権利があるはずだ!」
「ねぇよそんなもん。クソが。お前、誰かに生きてて欲しいって言われたことがあるか。お前が生きていなくちゃいけない理由がどこにある。誰が望む。誰が生きる権利なんかお前に与えるものか。権利なんてモノはないんだよ。あるとすれば勝ち取れ。誰かに必要とされて初めて手にできるものなんだ。だから、死ねよ。お前は殺人の罪を負うことではじめて生きてる意味が認められるんだよ。殺人の罪を償ってはじめて人間になれるんだよ。黙って償え! それが、お前が生きるための代償だ」
 犬がほえる。その気迫に、必死さに思わずひるむ。
 しかし、犬にほえられてひるむ豚はいても狼はいない。
「話にならないね。君は自分の事を特別扱いしているようだけれど。それはどうしてかな?」
「当然だ。私は機械を扱う人間なのだから。家畜を管理する人間だ。人類は、それができる者だけで十分だ。ソレ以外はいらない。せいぜい維持コストを最低限に押さえて、なるべく利益を生み出して死んでもらわなければ」
「結構な意見だね。だが、最低でも少々の修正を加える必要がある。機械を操る人間は、誰でもいいんだ。当然家畜の管理が必要なら管理する人間が誰であっても構わない。つまり、見方を変えればお前自身もタダの家畜。誰かもっと上の人間に飼われた豚野郎だよ。もっとも、その誰かを探そうと思ったら堂々巡りに
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