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日本人に生まれた者の全ての仕事を保証する法案についての考察。あるいは追い詰められた人間の選択
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都合を言えば、君には無罪を訴え続けて欲しい」
「はっ。訳が分からん。だったら、そう言えばよかっただろう。お前が説明しなければ俺はバカみたいに喜んで無罪を主張し続けただろうよ」
「それじゃ意味がないんだ。君にはいくつかの道がある。その道を見つけた上で、どの道を進むか決めなければいけない。その先に地獄しか待っていないと分かっていても、それでも進まなければ意味がない」
地獄を目指して進むだと。狂っている。
でも、そうか。今までと変わらない。俺が気づいていなかっただけで、地獄はすごく身近な存在なのかもしれない。
「俺は、何も罪を背負っちゃいない」
俺は、先に地獄がある道を選んだ。
突き破るような勢いで、屋上の扉が開く。
「そんなことされてたまるか。貴様には罪がある!」
屋上に、さらにもう一人男が現れた。
男の割には長い髪。フレームなしのメガネに背広姿。いかにも仕事のできそうな若者だ。
しかし、それも普段であればの話だ。表情には怒気がうかべ、肩で息をしている。余裕がない。射抜くような視線は敵意を感じさせる。こいつは俺の敵だ。俺が国に飼われていた豚だとすれば、コイツは犬だ。
「罪だと。ふざけるな。俺は誰も殺していない。証拠だってある」
はっ。犬がさげすむように笑う。檻で暴れる動物を見て哀れむ視線だ。その檻は君には壊せないんだよ。とでも言うように続けた。
「無罪の証明がなんだ。お前になにができる。いいか。お前は出された餌を食うことしかできない家畜だ。それに比べてこっちは屠殺の専門家だ。貴様等の小細工なんぞが通用する相手ではない」
「そう言う割には息が荒いぜ。プロが専門分野でずいぶん苦戦しているじゃないか」
男は苦虫を噛み潰した表情。青白い額には血管まで浮き出るようだ。
「豚は黙ってろ! 苦戦してるのは貴様にではない。そこの、豚を盗み食いしようとしている薄汚い狼にだ。コイツが誰だか知っているのか?」
「犬が血管浮き立たせて興奮しているところを見ると、国家権力者ではないらしいな。誰だろうが関係ない。敵の敵は味方。そんな簡単な話ではないだろうが、このままお前に捕まるよりはましだ」
ちらり、と協力者の顔を見る。コイツはまだ部外者だ。表情に余裕がある。いざとなれば俺の事を易々と切り捨てていくだろう。
「そいつらは非国民だ。国家が治める恒久平和の世を乱す蛮族。正義にたてつき、利己的な理由で破壊行為を繰り返す無法者。時に仲間の命さえ爆発させるテロリストだ!」
動揺が表情に出ないように苦心する。こいつ、テロリストだったのか。ニュースで何度もみかけた。過激派の恐ろしい団体。
だが、だからどうした。だからどうする。
「僕たちだって、人を傷つけたり、物を壊したりするのは嫌なんだよ。でも、口で言うだけじゃ解決しないこと
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