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日本人に生まれた者の全ての仕事を保証する法案についての考察。あるいは追い詰められた人間の選択
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さなアパートのポストに投函する。ポストには南京錠がかけられて、簡単にはあけられそうもない。は何が入っているのか分からないポストをあけるために、鍵をこじあけるような人はいないと考えたのだろう。
ステップ2も完了。
次が最終ステップなのだが、その内容がいささか不可解だ。
場所と時間が指定されていて、その場所で、時間まで目立たないようにすごす。
推測するに、このあたりに俺の信用を計るミソがあるのだろう。
俺は周囲を探るように見渡してみる。アパート周辺は閑静な住宅街ってやつだ。犬を連れて散歩しているおっさんが一人通り過ぎたが、ソレ以外に人の気配はない。車の走り去る音が聞こえる。少し歩けば車が走るのに適した通りがあるので、そこから聞こえるのだろう。
どこからか、誰かが俺の事を見張っている。そう感じると、背筋が伸びた。
指定された場所は、デパートの屋上だった。一般人が出入りできること自体初めて知った。
目立たないようにと言われていたので、帽子とサングラスを掛けてきたのだが、杞憂だったようだ。屋上には誰もいない。いるのはハトくらいなもので、こいつに見つかっても問題ないだろう。
屋上の中心には、寂れたステージが用意されていて、囲むようにベンチがこしらえてある。あとは申し訳程度の自販機くらいしかない。
ステージ自体小規模で、イナバ物置に乗るみたいに詰めても、三十人乗れそうもない。土台は木製で、年期のこもった黒ずみかたをしている。常に雨ざらしにされているのだろう。所々カビているようで、百人の体重は支えられそうにない。
メインステージがこれで、他には何もないのだ。周囲の景色も、高いフェンスに囲まれているせいでよく見えない。まだ、一階下で窓越しに眺めた方が見応えがあるというもの。
俺はベンチに腰掛けて、持ってきた文庫本を開いた。あと、三時間はここにいなければいけない。読み終わったら、寝よう。
「よう。こんな時間にこんな場所でなにしてる?」
小説を読み始めて十五分ほどたった頃。一人の男が話しかけてきた。
いつの間にここに居たのか。もしかして、ずっと居たのか。
頭にひらめくものがあった。コイツは例の僕を監視している者ではないか。十五分もぼーっとしていて、人目につかないようにする仕事を忘れているのを咎めにきたのか。
いや、違うな。こういう場合にどうするかを試しているのだ。一体どうすればいいのだろう。この場を離れて、撒いてから戻ってくるべきか。
「あ、貴方こそ。こんな場所でどうしたんですか?」
「君は殺人鬼になる。君が今日足を運んだ202号室の男を包丁で刺し殺したのだ」
この男は何を言っているのだ。どうやら、俺の仕事内容を知っていたようだ。つまり、依頼人、あるいは関係者だ。
「殺人鬼? 冗談じゃない。どれだけ金を積
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