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ラ=トスカ
第三幕その二
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事を考え話していたところなのだから。
「まだ白を切るつもりなの、これを見てもまだ言える!?」
 と手にしていた扇を見せつける。
「扇?これが一体?」
 狐につままれた様な顔になった。ふと扇に彫られている紋章が目に入った。
「アッタヴァンティ侯爵家の紋章か。とするとこれはマルケサのものか」
「そうよ、貴方の浮気相手のね」
「浮気相手!?」
 カヴァラドゥッシはようやく事態が飲み込めてきた。
「分かったよ。まあ少し静かにしてくれ。今から君に説明するよ」
「何を!?」 
「ちょっと落ち着いて。それじゃあ気が狂っているみたいだよ」
 トスカを宥めようとするが当のトスカは一向に収まらない。
「そうよ、私は狂ってるわ。狂っているからこそ卑劣で嘘つきで浮気者で恥知らずの遊び人を愛しているのよ。私からあの女へ、あの女から私へと遊び歩いてその残り香を私の下へ運んで来る図々しい蜜蜂をね。その蜜蜂を心で、身体で、そして血潮で愛している私は狂った花なのよ!」
「・・・・・・・・・言いたい事はそれだけかい?」
「まあ、憎たらしい、開き直るつもり!?」
 その時何か踏んだ。見ると女物の服だった。

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