第九章
[8]前話
「ひょっとしたら」
「それでか」
「うん、お互いに知っててそれでもう見ていたから」
同じクラスなら見る、それでだというのだ。
「それでかな」
「何だよ、それじゃあ合コンよりも同じクラスってこと自体がか」
秋山は純貴の話を聞いて言った。
「ロマンなんだな」
「君ロマンって言葉好きだね」
「男は誰でもロマンチストなんだよ」
そして女はロアリストである、誰が言っただろうか。
「とにかく。ロマンか」
「うん、同じクラス同士ってこと自体がね」
「そういうものなんだな」
「僕達今日もデートだから」
純貴はにこりと笑って言った。
「合コンとはもう縁ないよね」
「カップルで出てくれよ」
「えっ、そうなるの」
「俺達も出てるんだからな」
それでだというのだ。
「わかったな、楽しめよ」
「加藤さんに誰かが声かけたら困るけれど」
「最初に言えばいいからな、そんなことは」
「やれやれ、本当に合コンが好きなんだね」
「だから言ってるだろ、合コンはロマンなんだよ」
秋山の熱い言葉は変わらない。
「わかったらな」
「来いっていうんだね。カップル同士で」
「頼んだからな」
秋山は笑顔で純貴に言った、そうしてだった。
純貴も杏美と二人で合コンに出た、ただこの時も二人は二人のままだった。
夏休みの出会い 完
2013・2・2
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