第六章
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「だからなのよ」
「どうしてそんなことするの?」
「言ったらあんた来なかったでしょ」
「それはそうだけれど」
「合コンにサプライズは付きものよ」
合コンを知っている娘の言葉だった。
「これもまた楽しみのうちよ」
「楽しみって」
「とにかく。来たからにはね」
「合コンに参加しろっていうのね」
「まさかと思うけれど」
逃げないでしょうね、言葉の後半は言わなかった。
「座ってね」
「うん、それじゃあ」
杏美はサプライズの主役だったことに戸惑いながらもだった。用意されたその席に向かい座ったのだった。純貴はその杏美を見ながら大好物の焼きそばをサイダーと一緒に食べていた。今は彼女の方に関心があった。
そうして合コンが再開となった、結構飲み食いをしてからだった。
秋山は皆に言った。
「じゃあ次は」
「海に出てよね」
「ああ、西瓜割りしような」
それをだというのだ。
「それな」
「そっちの用意もしてるから」
黒ビキニの娘はそれもだと言う。
「だからね」
「ああ、それじゃあな」
こうして今度は西瓜割りを楽しむことになった。純貴もしたがそうそう当たるものではない、そしてその次にだった。
杏美の番だった、純貴はその白い布で目隠しをした彼女に声をかける。
「そのままだよ」
「正面?」
「そう、正面を進んでね」
そしてだというのだ。
「加藤さんの歩幅だと七歩だね」
「七歩正面に進んで?」
「そう、そして七歩目でね」
「木刀を振り下ろせばいいのね」
「その西瓜皮が薄いからね」
持った時にわかったことだ。
「振り下ろせばすぐに割れるよ」
「ええ、それじゃあね」
二人で話してそのうえでだった。
杏美は純貴に言われるまま七歩正面に進んだ、そうして。
木刀を上から下に思い切り振り下ろした、するとだった。
何かが割れる音がした、杏美が目隠しを取ると。
目の前には割れて黄色い中身を出している西瓜があった、杏美はその西瓜を見てまずはこう言ったのだった。
「黄色い西瓜だったの」
「ああ、そうなんだ」
「そっちにしたのよ」
秋山と黒ビキニの娘が笑って答える。
「赤から少し趣向を変えようって思ってな」
「それでなのよ」
「そうだったの」
「とにかく割れたし皆で食うか」
「足りない分はアイスもあるから」
それもだというのだ。
「じゃあ今からな」
「西瓜もね」
二人で笑顔で皆に告げる、そうしてだった。
その西瓜を食べた、この砂浜での合コンは楽しく続いた。
それが終わってからだ、秋山は皆に言った。
もう皆砂浜から引き揚げて着替えて駅前にいる、夏の夕方の赤くなろうとしている中で言うのだった。
「女の子一人だと危ないからな」
「送っていけか」
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