第五話〜調練〜
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「どうも朱君業と申します。どうぞよろしくおねがいします」
『え?』
新兵たちの声が一つに重なった。
朱才と言えば、朱家の神童と噂される大物のはずである。朱才を讃える噂は色々あり、曰く「孫堅と剣を交え、互角以上に立ち回った」、曰く「江賊800人を相手取り、誰一人殺すことなく頭目である甘寧を生け捕りにし、仲間に引き入れた」、曰く「日に全体の三割の政務を取り仕切っている」など、最後の噂だけは聊か誇張されているが、それ以外に関しては全て実話である。
また実際に賊の討伐において負けを知らず、圧倒的な戦果を残している彼を知らない者は長沙近辺にはほとんどいない。
あまりの暴露に、そして自分が浴びせかけた罵詈雑言を思い返し、150人の新兵のうち、約三割が卒倒したのは致し方のない事だったのかもしれない。
そんな騒がしい調練も解散し、各々が調練場が去る中、江は徐盛と周泰を呼びつける。二人はビクッと体を震わせながら、江のもとへと歩みよった。江はそんな二人に言う。
「まずは徐盛、あなたには孫策の部隊に入っていただきます。勝手気ままですが腕は確かですので十分に揉まれてきてください」
「は、はっ!」
間違いなく叱責を受けると覚悟して、ここへときた徐盛は新兵としてはまさかの大抜擢に、大いに驚きながらも背筋を伸ばし返事をする。
「周泰は…甘寧と共に諜報部隊の構成に携わっていただきます」
「りょ、了解しました!」
「しっかり扱いてやるから覚悟しておけ」
「あうあうあう…お手柔らかにお願いします…」
こちらはやや俯き加減である。間違いなく先ほどの罵声が、思春の怒りを買っている。はっきり言って周泰は何一つ罵声など浴びせていないのだが…
「…ようやく体勢が整ってきましたね。頼りにしていますよ」
江はそう呟き、虚空を眺める。
孫呉は着々と力を蓄えていた。
「………またか」
自らの執務室で机の上にあるモノを眺めつつ、桃蓮は呟いた。
それは先日から頻繁に見かけるモノ。それがまた目の前に現れたのだ。
「最近やけに多いの………一波来るか」
祭が言葉を重ねる。表情には少し疲れがうかがえる。それはその場に居合わせている桃蓮、焔にも言えることだが。
「ホント嫌な予感しかしないわよね。まるで何かの目印みたい。それと他の所にも出てるらしいわ」
「だろうな。全く趣味が悪いにも程があるぞ」
呟くように話す三人の視線は机の上に置か
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