第二章
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「どうしてかしらね」
「本当に何でもだから」
「優子さんに何があるのかしら」
「それがわからないけれど」
二人で首を傾げさせながらその優子を見つつ仕事をしていた。二人にしても仕事ぶりは普通でそつがないと言える。
だがそれは優子もだ、しかしなのだ。
二人は普通で優子は慕われる、頼りにされる。
優子を見てもそれはわからない、それでまた麻友は友美に言った。
「ねえ、どう違うのかしら優子さんと私達って」
「一生懸命さとか?」
今日の二人は和食だった、友美は親子丼を食べながら天丼の麻友に言った。
「いつも一生懸命な人だから」
「それかしら」
「私達よりもずっと一生懸命だから」
優子はそうした先輩だ、とにかく仕事に一生懸命だ。
だがそれだけであそこまで頼りにされるかというとなのだ。
「けれどそれだとあそこまで頼りにされないし」
「普通にいい人って位でね」
「うちのフロアーのストッパーみたいになってるけれど」
「藤川さんみたいなね」
残念ながら大リーグに旅立った阪神のストッパーの名前も出た。
「優子さんってピッチャーだとローテーションの三番目よね」
「まあ勝っても負けてもって感じで」
「オールスターには出ないみたいな」
「そんな感じだけれど」
「まあ私達は中継ぎ陣だけれどね」
二人は自分達についてはこう言う。
「けれどストッパー扱いって」
「それか大エースね」
ストッパーでないならそちらになる、それが優子だった。
「バリバリって人じゃないのね」
「本当にどうしてかしらね」
このことがどうしてもわからない二人だった、それで。
麻友は自分の天丼の海老と御飯、おつゆの味がいいそれを食べて言ったのだ。
「優子さんって性格と顔は天丼でね」
「仕事は親子丼よね」
友美は自分が食べている丼から言った。確かに美味しいがトップになるか、というのである。
「普通だけれど」
「それでエース、ストッパー扱いなのは」
「それがわからないわね」
「どうしてもね」
二人で話すのだった、とにかく二人は優子が実際の仕事において皆から頼りにされる理由がどうしてもわからなかった。
そんなある日だった、百貨店のフロアーで。
子供が急に吐いた、フロアーが忽ちのうちに嘔吐されたもので汚れる、それを見てだった。
麻友は眉を顰めさせて友美に言った。
「子供の背中摩ってね」
「うん、清掃の人呼ぼう」
友美も眉を顰めさせて応じる。
「早く何とかしないと」
「これは参ったわね」
二人は清掃の人に頼ろうとした、だがだった。
ここで優子はさっと前に出てだった。
既に持って来ていた掃除用器具で嘔吐物を素早く処理して綺麗にしてからだった。
子供の目線に座って優しい笑顔でこう言った。
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