第三章
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「あの人って」
「一目惚れ?」
「ひょっとして」
「凄く格好いい人よね」
こう言ったのである。
「あの人って」
「うわ、まさかと思ったけれど」
「本当に一目惚れだったのね」
「あんな格好いい人がいるんだったら」
それならというのだ。
「毎日あそこに行かないとね」
「ううん、言ったすぐ傍からね」
「恋愛モード発動したわね」
「明日も行くから」
麻美は言った。
「明後日もそれからもね」
「やれやれね、本当に」
「物事ってのはいきなり動くわね」
同僚達は今の麻美に驚く呆れそして何処かほっとしてもいた、そしてこの日からだった。
麻美はそのイタリアンバイキングの店に毎日通った、それで彼を見て酒とは別に顔を赤くさせ続けていた。
その彼女を見て同期の中居理恵はこう周りに言った。
補足白い顔だ、目は小さく黒が多い。
髪は黒く少しソバージュをかけてのばしている、背は一六〇より少しだけ低くすらりとしている、それは胸が特にだ。
その理恵が言うには。
「やっと麻美もなのね」
「ええ、相手出来たわよ」
「やっとね」
「これまではお酒ばかりだったから」
高く可愛らしい声で言う理恵だった、元々の声だ。
「ずっと心配してたのよ」
「ずっとああじゃないかってよね」
「やっぱり」
「そう、心配してたから」
実際そうだったというのだ。
「同期としてね」
「入社からああだったからね」
「お酒ばかりでね
「あっ、入社前どころかね」
実は理恵と麻美の付き合いは長い、高校の頃からだ。その理恵が言うには。
「高校の頃からこっそりとね」
「飲んでたのね」
「そう、お酒好きなのよ」
十代の頃から飲んでいるというのだ。
「煙草は吸わないけれどね、私もだけれどね」
「ううん、それでその麻美がね」
「好きな相手出来たみたいだけれど」
「どうなのかしらね」
理恵はここで首を傾げさせた。
「私の知る限り麻美は女の子とも男の子とも仲良く接することが出来るししてるけれど」
「恋愛経験はない」
「そうなのね」
「そう、ないの」
それはないというのだ。
「全然ね」
「そうなのね、じゃあ若し今回のことは」
「どうなるかしら」
「経験がないから」
理恵は心配している顔になっていた、その顔での言葉だった。
「どうなるかわからないわね」
「まずいわね、それは」
「何かがあったら」
「ええ、傷つくのは麻美よ」
彼女だというのだ。
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