第一章
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サザンウィンド
仕事が終わって女友達にこんなことを言われた。
「今年は寒いからね」
「寒いから?」
「お正月暑いところに旅行に行かない?」
「そこでお正月を過ごそうっていうのね」
「そう。所帯も彼氏もいない面子はね」
つまり寂しい面子はそれで寂しさを紛らわせようというのだ。
「そうしない?それであんたもね」
「ちょっと、それってつまりは」
「あんた彼氏いないでしょ」
嫌になる位ダイレクトな問いだった。
「だからね」
「あのね、決め付けてるけれど」
「けれど実際にいないでしょ」
「まあね」
私はこれ以上はないまでにむっとした顔をあえて作って言葉を返した。
「この前別れたわよ」
「相手が浮気してね」
「その時にギッタンギッタンにしてやったわよ」
文字通り本当にそうした。浮気したなら容赦するつもりはなかった。
それで今一人だ、彼女はその私に声をかけてきたのだ。
「それじゃあね」
「それで何処に旅行に行くのよ」
「沖縄とか?」
「沖縄ね」
「あそこなら安いし食べ物も美味しいし」
「しかも何時でも泳げるからよね」
「そう。そこでどう?」
彼女はこう私に笑顔で提案してくる。
「パスポートなしで簡単に行けるしね」
「お酒もあるわね」
「泡盛ね。じゃあ決まりね」
こうしてお正月の予定はあっさりと決まった。私は沖縄に行くことになった、そしてその旅行の面子はというと。
空港にいたのは彼女だけだった。私は彼女の姿を見てすぐに問い返した。
「他の娘は?」
「誰もね」
いなかったというのだ。
「言いたいこと、わかるわよね」
「旦那も彼氏もいないのは私達だけなのね」
「そう。二人で気兼ねない旅行が出来るわよ」
「全く。本当に寂しい面子よね」
「ロシアに行く?寂しいついでに」
「シベリアに行くのね」
「それでマンモスか雪男でも探さない?」
自棄っぱちの冗談を私に言ってくる。
「そうする?」
「真面目に言うとパスポートないでしょ。もうチケットもホテルの予約も取ったし」
「じゃあ沖縄ね」
「二人でもいいじゃない。お正月は親友同士で過ごしましょう」
「そうね。そう考えることにするわ」
こうしたやり取りをしてからだった。私達は飛行機に乗ってそれから沖縄に着いた。沖縄に着くと早速だった。
ビーチに出た。そしてすることは。
「やっぱり美味しいわね」
「ええ、沖縄に来たらこれよ」
ビーチにシーツを敷いてパラソルを差してその下で二人で飲む。サングラスに麦藁帽子に日焼け止めクリーム、下はズボンレッグウォーマーも忘れない。
その重装備で一緒に飲むのは泡盛だ。二人でビーチを見ながら乾杯した。
そして私は一杯飲んでから言った。
「女
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