Chapter-3 第11話
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美しいドレス姿を見られただけでも僕は万々歳です。また何かあればよろしくお願いしますね!」
「おう!ハルカ!必要だったらいつでも来いよ!安くしておくから!」
仕立て屋の男はハルカに対し、親指を上に向けた手を前に出した。“グッドラック!”の印である。
再び手を繋いで街を歩く。すると、ローラ姫はきょろきょろと辺りを見回した。
「ここを訪れたのは一年前なのに、かなり変わっていますわ」
町並みのことである。賑わった町並みをよく見ると、ペンキの塗り残しや看板の跡が見つかる。店が以前より入れ替わっているということである。ハルカは最近初めて来たばかりなので一年前の姿はよく知らないが、ローラ姫の言葉は理解できた。
「そのようですね」
と、その時であった。
「ねえ、ハルカ様、これは何ですの?」
目を輝かせて、ハルカの半袖を引っ張って見る先は、お菓子屋だった。
「私、あのお菓子が食べたいですわ!」
「ローラ姫……」
苦笑いをしながら、心底では(可愛い)と思っていた。
「私、いつも城お仕えのパティシエのお菓子しか食べたことありません。城下町のお菓子も食べさせてもらえなかったのです」
「お姫様育ちだから……でしょうか」
「ええ。だから、ねえ、ハルカ様!」
「分かりましたよ。行きましょうか。――そうそう、あれは、マカロンというものですよ」
「まあ、美味しそう!少しだけでいいです、食べさせてください!」
幼い子供のように目を輝かせて見つめるローラ姫の姿に、ハルカは微笑んだ。
「分かりました」
お菓子屋に足を運んだ二人は、数個のマカロンを買った。そして、お菓子屋に置いてあるベンチで二人、食べた。
そのマカロンは生地はもちろんのこと、クリームも程よい甘さで、とても美味しかったのだ。
「美味しいですわ!私、お菓子は食べるのですが、こういうお菓子は初めてですの。本当に美味しい!」
「そうかい。あたしは嬉しいよ。お姫様の口に合うマカロンを売っているってことになるからね」
ふくよかな体型のお菓子屋の女は得意げに胸を張った。この言葉はハルカに向けて言ったものである。
ハルカも笑顔で返した。
「僕も初めてですが、マカロンってこんなに美味しいお菓子だったのですね」
「そうだよ。実は今日初めて売り出したんだ。気に入ってもらえてうれしいよ。……ローラ姫、ご満足でしたか?」
「ええ!」
ハルカはお菓子屋が提示した値段より一割増のお金を置いて、「ご馳走様でした!」と去ろうとしていた。
「おや、多すぎるよあんた。いくらお姫様と一緒で、このマカロンが美味しかったからといってもね。こんなに貰っちゃ悪いよ」
「いいんですよ。僕達は満足です」
「いや。お返しするよ。気持ちだけ受け取っておくよ」
と、お菓子屋の女はハルカに余った分のお金を返した。女は嬉しそ
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