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[8]前話
少年が絶命してから約30秒後
爆風で開いた壁から、ゆったりと風が流れ込んでいた。ピクリとも動かない少年の髪を揺らし、ゆっくりと包み込んでいく。
そんな時だった。
「よっと! う〜んとここであってたかな?」
ぽっかりと空いた壁から突如鎌を持った少女が現れた。髪の毛は赤色で、両端で軽く結んでいる。年は二十代だろうか。
少女は辺りを見渡すと、何かを見つけたのか小さく「いた」と呟く。その瞬間、1秒もかかることなくある場所に飛んでいた。
「いたいた。こいつが映姫さまの言ってた重要人物ってやつかい? とてもそうは見えないけどねぇ」
少女はそういいながら溜息をつくと、足元にいた少年を担ぎあげる。
「さて、帰るとしますかな」
「死神が死体を持ちかえるのか? 珍しいじゃないか」
「?」
再び飛ぼうとした少女を引き留めたのは、壁にもたれかかる男だった。
「あら、あんたまだ生きてたんだ」
「生憎、そいつより傷が浅いんでね」
「そうかい。まあでも……すぐに迎えが来るだろうさ」
「あはは、怖いねぇ」
男は腹部を抑えながら笑う。少女はそれを見ながら不思議そうにしていた。
「さあ、早く行きなよ?」
「言われなくてもそうするさ。しかし……映姫様はなぜ……こいつの死体を持ってこいなどと……」
少女は少し不思議そうにしながらも、「まあいいか」と言いその場から居なくなった。
再び、部屋の中を静寂が埋め尽くす。
「ははっ……これで僕の頑張りも無駄になるってことか。ほんと……運がいいんだな、あいつは」
男は少女がいた場所を見ながらそう呟いていた。
「なら……僕があと出来ることは、絶望を与えるだけか」
男はそう言って何かを解除するようなしぐさをする。
その数分後……
「俊司さん!!」
少年の名を呼びながら、白髪の少女が中に入ってきていた。
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