最終話
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せっかくここまできたんだから……幻想郷を取り返してほしい。
そしてもう一つ。自殺だけは……やめてください。俺にも言ってくれたんだから、妖夢も守ってくれ……な?
最後に、こんなにバカな奴だけど……助けてくれて……好きになってくれて……ありがとう。
里中俊司』
「うぐっ……ひっく……」
手紙を読みながら、少女はただただ涙を流していた。
「こんな……こと……かかれったら……っぐ……あなたのもとに……行けないじゃないですかっ……」
そう言って手紙をぎゅっと抱きしめる。まるで、好きだったあの人を抱きしめるように。
「わかりました……うっぐ……俊司さん……」
そう言って涙を拭き取る妖夢。その目には少しずつ光が戻り始めていた。
翌日
「ふう……これでいいか」
玄関では鈴仙が落ちていた竹の葉を集め、焚き火をしていた。気を紛らわすためなのか、幽霊の少年にむけたメッセージなのかは分からないが、鈴仙はどこか寂しそうな顔をしていた。
「きちんと燃えてから消そうかな……」
「ちょっといいですか?」
「うわあ!?」
ボケーっとしていた少女の背後から、いきなり半霊をつれた少女が話しかけた。
「よっ……妖夢さん?」
「はい……」
唖然としていた鈴仙だったが、妖夢の光る眼を見た瞬間、安心したかのように溜息をもらした。
「これも一緒に燃やしてもらえませんかね?」
「えっ?」
妖夢が手渡したのは手紙だった。
不思議に思って手紙をマジマジと見る鈴仙、そこには宛名として『里中俊司』と書かれていた。
「これ……」
「燃やせば……届きますよね?」
そう言って妖夢はほほ笑んだ。
それを見て鈴仙は再び安心したのか、笑みを返していた。
「じゃあ入れますね」
「はい」
確認した後、鈴仙は手紙を火の中に放り込む。手紙はじわじわと燃えながら、煙を上げ始めていた。
手紙にはこう書かれていた。
『俊司さんへ
手紙読ませていただきました。嬉しかったですし……悲しかったです。もう、どうあがいてもあなたには会えないんですね……。なんか思い知らされた気がします。
いっそ自分もあなたのもとにむかえたらと……刀を握ってしまいました。情けないですね。でも、あの手紙のおかげで踏みとどまることができました。ありがとうございます。
あと、好きだって書いてましたね……嬉しいです。とても……心が満たされました。でも…
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