最終話
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戻した。
「まだあなたにはやることがあるわ……まだ……」
「……」
幽々子の言葉を聞いた妖夢は、何も言うことなく無表情のまま涙を流していた。
「妖夢さん……」
「行きましょう……紫」
「……ええ」
紫は複雑な顔をしたままスキマを展開させる。一同はそのまま、スキマをくぐって行くのであった……。
数日後
永遠亭では次の戦闘に向けて休養を取っていた。
捕虜は人数が多すぎた関係で、守矢神社で預かってもらうことになった。永遠亭にはいつものメンバーが残っていたが、活気があふれいているわけではなかった。
俊司の死は全員に告げられた。ある物は泣き、ある者は怒りをあらわにし、それぞれが心に深いダメージを負っていた。
この戦況を打破するキーマンとなり、皆にとって大切な仲間となった彼を失ったのは、紫達にとっては大打撃だった。
特に好意を抱いていた妖夢に至っては、回復の兆しが見えていなかった。
いつも朝目覚めては俊司と特訓を行った場所に行き、ただ一点を見続ける。食事もほとんど口にすることなく、体も徐々に衰退しているようだった。
なんとか元気づけようとする紫達だったが、その行為もむなしく妖夢は立ち直ることができなかった。
「……」
この日も妖夢はただふらふらと歩いていた。彼と過ごした思い出だけを頼りに。
誰が声をかけようとも返事をしようとはしなかった。まるで生きた屍のように、何の目的もなく歩き続けるだけだった。
「……あ」
ふと気がつくと、少女はある部屋の前に止まっていた。今はもういないはずの……少年の部屋だった。
「俊司さん……」
妖夢は何かを求めるように扉をあける。
「妖夢」
「!?」
一瞬聞こえてきた声が、妖夢の鼓動を上げる。だが、それもすぐに収まって行った。
「俊司……さん?」
部屋の中には誰もいない。もちろん声も幻聴でしかなかった。
妖夢はゆっくりと中に入ると、音を立てずに扉を閉めた。
「……俊司さん……私は……!」
ふと気がつけば、無意識に刀を握っていた。
とがりきった刃物は光を反射させながら少女の目に映る。それを見ながら、妖夢はある思いにかられていた。
(いっそ……会いにいけばいいんだ)
そのまま何も考えることなく、妖夢は刀を首筋にあてる。このまま引いてしまえば、自分も俊司のもとに行ける。そんなことを考え始めていた。
「俊司さん……今……?」
ふと目線をそらした時、妖夢の目に俊司の鞄がう
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