GGO編ーファントム・バレット編ー
54.外の世界
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口を当てて掠れた声が漏れる。
さらにペイルライダーの全身がぴたりと凍り、直後にホワイトノイズ的なエフェクトに包まれて消失する。
エフェクトの光は、アバター本体が消えた後もしばし空中に留まり、回線切断(ディスコネクション)と読める立体フォトンを、艶のない黒のブーツが踏み荒らす。ボロマントが、左手をマントの内側に戻し、一歩前へ進む。
どうやら向こうにも生中継のカメラ視点の場所がわかるらしく、まっすぐ右手の拳銃をこちら側に向ける。
「......俺と、この銃の、真の名は、《死銃》......《デス・ガン》」
モニターの向こうに映るボロマントの声にアスナさんの顔が少しこわばっている。
「俺は、いつか、貴様らの前にも、現れる。そして、この銃で、本物の死をもたらす。俺には、その、力がある」
さらにアスナさんの顔がこわばっていき、その表情は恐怖に震えるような表情だ。
「忘れるな。まだ、終わっていない。何も、終わって、いない。ーーイッツ・ショウ・タイム」
呆然と、するアスナさんに自然とみんなも沈黙してしまうが、突然右後ろで響く甲高いサウンドが響く。
振り向くと、クラインの右手から滑り落ちたプレイヤーメイドのアイテムが破壊された音だ。
「ちょっと、何やってんの......」
リズさんの文句を、クラインの低くしゃがれた声が遮る。
「う......嘘だろ......あいつ.....まさか.....」
それを聞いた途端、アスナさんが立ち上がり、振り向き、叫ぶ。
「クライン、知っているの!?あいつが誰なのか!?」
「い、いや......昔の名前までは.....。でも.....間違いねぇ、これだけは断言できる.....」
クラインは、深い恐怖に彩られた表情で言った。
「野郎は......《ラフコフ》のメンバーだ」
「.........!!」
私とレイナさんを除く、みんなが激しく息を吸い込んだ。
アスナさんは恐怖のあまりか、リズさんとシリカちゃんの肩に手を置き、おそるおそるクラインに問う。
「ま......まさか.....あいつらのリーダーだった、あの包丁使い......?」
「いや......《PoH》の奴じゃねぇ。野郎の喋りや態度とはぜんぜんちがう。でも......さっきの、『イッツ・ショウ・タイム』ってのは、PoHの決め台詞だったんだ。たぶん、野郎に近い、かなり上の幹部プレイヤーだ....」
呻くようにそう言うと、クラインはもう一度スクリーンを見た。アスナや、他の四人も、つられるように眼を戻す。
正面の拡大画面の中では、ボロマントが拳銃をしまい、遠ざかりつつあるところだった。ボロマントは、フレーム奥の鉄橋に近づき、それを渡るのではなく、橋桁の外側
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