第三話、ヘルメス・アークライド
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ないですか?」
「……ああ」
俺が肯定を示すと、男はその丹精に整った顔に笑みを浮かべた。
「申し遅れました。私の名前はヘルメス・アークライドです。以後、よろしくお願いいたします」
アークライド?この姓、どこかで聞いたことがあるような……
いや、そんなことは今はどうでもいい。
「こんなところに、なんの用だ?」
警戒しつつ尋ねると、ヘルメスは浮かべている笑みを濃いものにした。その歪な笑顔に、嫌な汗が流れる。
「そうですねぇ…まずはこれを見ていただきましょうか」
そう言ってヘルメスは右手をこちらに差し出した。そして、その右手が光を放ち、一冊の本が現れた。
淡い碧の刺繍に、十字に巻かれた鎖。間違いない。あれは、
「碧天の魔術書!」
「え?ラウル、本当に?」
いつの間にか後ろにいたフェイトに頷き、俺は未だ笑みを浮かべているヘルメスを睨んだ。
「なぜ、お前が碧天の魔術書を持っている?」
「まあ、色々ありましてね。今回重要なのはそこではありません。これを見ていただきましょうか」
そう言ってヘルメスは、俺達の目の前に一つのモニターを出した。
「これは…次元航行艦…?」
そこに映ったのは、中々に大きな次元航行艦だった。
けど、なぜこんなものを見せる?
「あの船の中には、先日発掘されたジュエルシードというロストロギアが21個ほど積まれています」
「…要領を得ないな。さっさと要件を言ったらどうだ?」
遠回しに言うヘルメスに苛立ちを感じ話しを進めようとすると、ヘルメスはキザな仕草で溜息をついた。
そして、まあいいでしょう、と言い佇まいを正す。
「撃て、碧天の魔術書よ」
「なっ…!?」
ヘルメスの言葉を理解した時はもう遅かった。ヘルメスの右手に浮いていた碧天の魔術書が眩い光を放って、モニターに映る次元航行艦を青白い雷が撃ち抜いた。
そして、煙を上げる次元航行艦から、いくつもの青い輝きが零れ落ちて行った。
「あなた、なにを…!?」
「さて、ゲームを始めましょう」
驚愕するフェイトを無視して、ヘルメスは陰惨な笑みを浮かべて俺を見た。
「ゲーム、だと?」
「なに、簡単なことですよ。今散らばった21個のジュエルシード…私とあなた方、どちらが多く獲得できるかのね」
「……こっちにはなんのメリットがある?」
「フフ…あなた方が欲してやまない、この碧天の魔術書を差し上げましょう」
俺は、思わずヘルメスを睨み上げた。だが、冷静に考えると、今の状態でこいつから無理矢理奪うというのは難しい。
こみ上げてくる怒りを溜息として吐き出して、既に戦闘体勢に
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