第三話、ヘルメス・アークライド
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うとおり、今の俺はウンディーネの刀身をあの黒鞘から抜くことができない。どれだけ魔力強化して引き抜こうとしても、ビクともしなかった。
「んー…なんでなんだろうね?」
フェイトが首を捻る。それにつられて俺も首を傾げた。
「まだ貴方には早い、そういうことでしょう?」
「ならさ、早くアンタが強くなってウンディーネを認めさせればいいんじゃないかい?」
そう言うプレシアとアルフなのだが、俺にはどうも、ただウンディーネに認めてもらうだけではダメなような気がしている。
一度、どうすればいいのかウンディーネに聞いて見たことがあった。結局、詳しいことは教えてもらいなかったが、俺がなにかを思い出さなければならないような…そんな口ぶりだった。
しかし、一体なにを思い出せなというのだろうか。別に記憶喪失になったわけではないしな。
「まあ、そのうち分かるときが来るか…」
そう言ってサラダを咀嚼していると、なぜか四人が俺の顔をまじまじと見ていた。
「…ん?」
「なんか、ラウルって思ったより全然楽観的だよね」
と、フェイト。
「そもそも無表情すぎるのよね」
と、プレシア。
「笑顔は大事だよ?」
と、アルフ。
「よくなに考えてるか分からないときがありますからね」
と、リニス。
「「「「謎だ」」」」
「全員揃って……分かったよ…お前ら今日は昼飯夕飯ナシな」
「「「「超ごめんなさい」」」」
まったく、現金なやつらだな。
「冗談だよ…」
本格的に泣きそうになっているフェイトにそう言って再びサラダに手を伸ばしたとき、
「なんだ、この、魔力?」
俺は、時の庭園の外で高密度高出力の魔力を感じた。嫌な予感がして、俺はすぐさま立ち上がって屋敷の外へと駆け出した。
「ラウル!?」
「ちょっ、ラウル、フェイト待ちなさい!」
後ろでプレシア達の声が聞こえるけど、構ってられない。本当に嫌な予感がする。
広い屋敷を全力で駆け抜けて、見つけた窓から下までダイブ。空中で一回転してから着地して、前を見る。
「……あんた、誰だ…?」
そこにいたのは、黒いマントを羽織り、フードを目深に被った男の姿だった。身長は180前半、体格は痩せ型…見た目はどこにでもいそうな普通の男だ。けど、この男から発せられる存在感と、なにより魔法を行使していないにも関わらず鮮明に感じることができる巨大な魔力が、只者ではないことを示していた。
この男の意図が掴めず、警戒しつつ俺が尋ねると、男は徐に被っていたフードを脱いだ。そして現れる翡翠色をした短髪。
「青い髪に紅い瞳…あなたが、ラウル・フェルナンデスで間違い
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