第百五十五話 ヴァンフリート星域会戦 その4
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の出来る物を出せと!”怒鳴ると相手はムッとした表情で電話を誰かに繋いだ。
『ヴァーンシャッフェ大佐、小官は副官のサンバーク少佐ですが、何か用でしょうか?』
司令官が役に立たない為に、僅かな時間で機密情報などを消去させ、忙しい中、仕方なしにTV電話に出た少佐は些か大佐の非常識さに険悪感を得ているようであった。
「コンピュータからローゼンリッター連隊員の兵員名簿を消し去って欲しい」
少佐の顔色さえ気づかずに、大佐は一方的に話す。
サンバーク少佐は直ぐに、このローゼンリッター連隊長が保身に走っていると感じたが、それを顔に出さずに、忙しいので一言ですました。
『既に進行済みです』
そのまま敬礼をするとTV電話が切られた。
ヴァーンシャッフェ大佐は上官を敬わない少佐の態度に頭に来たが、取りあえず何とかする算段が立ってホッとしたが、続いて制服のローゼンリッター連隊章を剥ぎ取りゴミ箱へ投げ捨てた。
■自由惑星同盟 ヴァンフリート4=2 同盟軍後方基地 基地司令室
基地司令室では茫然自失状態のセレブレッゼ中将に代わり副官のサンバーク少佐がテキパキと命令を出していた。司令部要員も今後のことを考えないように一心不乱に仕事を行う。
「良いか、機密情報は確実に消去するんだ。復元可能な状態では残さないようにな」
「少佐、航路データーも消去しますか?」
オペレーターの一人が聞いてくる。
「うむ、敵に渡す訳にはいかん、確実に消去するんだ」
「はっ」
そんな中でヴァーンシャッフェ大佐からの連絡が有った訳である。
連絡後に、その話を聞いた司令部の面々は呆れていた。
「なんだい、一騎当千のローゼンリッターが自己保身とは」
「仕方ないだろう、奴等は帝国からすれば裏切り者なんだからな」
「経歴を抹消してでも生き延びたい訳か」
「だらしねーな」
口々にローゼンリッターの悪口を言い始めるが手は遊んで居ない。彼等は後方勤務本部所属とはいえ軍人としての職責を最後まで全うしようとしていた。その姿は茫然自失の司令官や自己保身に走る連隊長と全く違う漢の姿であった。
「さあ、あと二十分しかないぞ」
サンバーク少佐の言葉に皆が真剣な表情になり全てのデーターを一片残らず消し去る為に手を動かし続けるのである。
■自由惑星同盟 ヴァンフリート4=2 同盟軍後方基地 ローゼンリッター連隊長室
司令部に連絡後もヴァーンシャッフェ大佐は不安で堪らなかった。冷静に考えてみれば、水掛論であっても徹底的に調べられれば、自分がローゼンリッター連隊長とばれるのではないかと、又他の軍人達が人身御供に自分達を売る可能性が高いと言う事であった。
「どうするか、例え隠れても基地の総員は僅か3万強だ、どう
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