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少年は魔人になるようです
第29話 魔人はフラグを立てるだけのようです
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イ……ありがとうございます。……マナ…。」


ケイジが、私に手を伸ばして来る。それをしっかりと包むと、ケイジが微笑む。


「マナ……。俺に借りを…返そうとかは、忘れて。幸せに、暮らしてくれ……。

それと……、何時までも、泣き虫なままじゃ、ダメだぞ?」

「…分かった。私、ケイジの分まで、幸せになるから……!

私も、ケイジみたいに、困ってる人を助けられるくらい、強くなるから…!!」

「さい、ごに。マナにとって、俺って、どんな奴だった、かな……?」


質問の意味が、よく、分からないけれど―――


「ケイジ、は……私の命の恩人で、それで、……お、お兄ちゃんみたいな、人。」

「アハハ、ハハ――ゴホッガフッ!お兄ちゃん、か。

なら、大丈夫かな………?じゃあな、マナ…。ごめん…な……。」


そう言って笑うケイジの手から、段々力が抜けて行く。

ダメ・・・まだ、せめて、これだけは・・・・・!


「ケイジは、私になんでもしてくれたよ!だから、だから――!

ありがとう、ケイジ!!」

「……うん、マナ……。ありがとう…………。」


ケイジの瞼が閉じて、溜まっていた涙が落ちた。



………
……




「白帝さま……。…お願いが、あります。」


しばらくケイジの手を握って泣いていたけれど、約束したから。

強くなるって。もう・・・なるべく、泣かない様にって。


「私に、力をください。人を助けられる、力を。」

「………少ね…いや、恵司君と約束したからね。教えよう。それで、君の名前は?」


私の、名前――マナ・アルカナ。

でも、それはケイジが居た時の名前だからー――


「マナ。……マナ・タツミヤ。ケイジと同じ字は、貴方が付けて。」

「そう、だね。じゃあ―――」


フオォン、フォンと白帝さまは、空中に字を書いて行く。

龍、宮、真、名。


「龍の(こころざし)を継ぐ、新なる真の名。龍宮真名。」

「分かった。私は、今日から…今から、龍宮、真名。」



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