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銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第四十九話  決戦(その八)
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は俺達の知らない何かが有る。反乱軍の軍人と海賊の実力者。一体この二人に何が有った? 知らぬままにしておいて良いのか? 危険だ、確認すべきだ。

「忠告とは何のことです、頭領、ヤン提督」
「……」
二人とも答えようとしない。いや、俺の言葉が聞こえていたのだろうか? まるで表情に変化が無い。
「お答えいただきたい!」

ヤン・ウェンリーが俺を見た。そして頭領に視線を向けた。だが頭領は視線を合わせようとしない。ヤン・ウェンリーが一つ息を吐いて俺を見た。
「帝国軍が侵攻する前の事です。フェザーンの独立商人を通して頭領からの忠告を受け取りました」
「……」

またヤン・ウェンリーが頭領に視線を向けた。
「そろそろ戦争を終わらせる時が来た、民主共和制に囚われて詰まらない事はしないでくれ。それから戦争をしないで済む時代がようやく来る、邪魔をするのは許さない……」
「そ、それは……」
「にも拘わらず私はゲリラ作戦を提案し帝国軍との決戦を目論んだ……、ローエングラム公を戦場で斃す為に」

頭領を見た。視線を感じたのか、ゆっくりと頭領が俺を見た。感情の見えない顔、だが視線は強い。まるで押さえ込むような視線だ。そしてその視線から目を逸らそうとしても逸らすことが出来ない。喉が干上がる、気圧される様な圧迫感、喉元を締め上げられるような感じがした。頭領がヤン・ウェンリーに視線を向けた。ようやく息を吐く事が出来た。コーヒーを一口飲む、温くなったコーヒーが喉の渇きを止めてくれた。

信じられなかった、この二人はずっと前から戦っていたのだ。たった二人で戦っていた。頭領がこの遠征に参加した理由も分かった。負けそうになったら出るというのは嘘だ。頭領は帝国軍がヤン・ウェンリーの前に敗れると見たのだ。だからヤン・ウェンリーを封じるために参加した。実際、頭領の参加無しでは帝国軍が反乱軍に勝つのは難しかっただろう。

化け物、ミュラーから頭領がヤン・ウェンリーを化け物と評していると聞いた。否定はしない、確かに化け物だろう。ならば頭領はどうなのだろう、どう評すればいいのだろう……。人外の二人が話をしている、そこに立ち会っている。何故立ち会ったのか、今更ながら後悔した。

「怒ってはいませんよ。ヤン提督の立場では戦わざるを得なかった。お給料を払ってくれる人にはその期待に応えないといけない、そうでしょう、ヤン提督。まあ給料分以上に働いている様な気もしますが……」
「……」
幾分皮肉が交じっているだろう、ヤン・ウェンリーは無言だ。

「今後は帝国政府が貴方に年金を払います、であれば帝国政府が困る様な事はしませんよね」
「……」
「……」
ヤン・ウェンリーは答えない、頭領も答えを求めようとしない。お互いをじっと見ている。ヤン・ウェンリーは反帝国活動を考えて
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