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銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第四十九話  決戦(その八)
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談になった。メルカッツ閣下、ミュラーでは頭領に近過ぎる。

ルッツ提督、ワーレンも共に戦っただけに情が移るだろう。公平な立場となると俺かファーレンハイト提督しかいない。そしてじゃんけんで負けた俺が立ち会う事になった。この二人の会談に興味が無いとは言わない。しかし立会人とはついているのかいないのか、何とも判断しかねるところだ。ロイエンタールが居れば奴に押し付けるのだが……。まあ黙って話を聞くしかない。

「ハイネセンに戻れば解放されると思いますが、その後はどうされますか?」
「……さあ、今は何とも……」
「未だ決めてはいない……」
「ええ」
敗戦の直後だ。反乱軍、いや自由惑星同盟は消滅する。先の事は分からんだろう。頭領がゆっくりと頷いた。

「自由惑星同盟は無くなりますが民主共和政は存続出来る事になりました」
ヤン・ウェンリーが目を見張っている。驚いているのだろう、俺も吃驚だ。民主共和政は存続?
「それは、自治領という事でしょうか?」
「少し違うようです。或る星系においてどのような統治形態を採ろうと自由という事のようです。ヤン提督の気に入れば良いのですが……」
「……」

「民主共和政の存続も決まった事ですしヤン提督は帝国軍に加わるというのは如何です? ローエングラム公も喜ぶと思いますし貴方の為にもその方が良いと思うのです」
「……」
声が出そうになって慌てて堪えた。また吃驚だ、本気か? 二人を見たが二人とも落ち着いた表情をしている。驚いているのは俺だけか、頭領はともかくヤン・ウェンリーも外見からは想像できぬ図太さを持っている。

「気が進みませんか?」
「ええ、私は宮仕えは向いていないようです。出来れば御放念いただければ幸いです」
頭領が一口ココアを飲んだ。ヤン・ウェンリーも紅茶を飲んだ。

「年金生活ですか、まあ帝国は統一後は旧同盟市民に対してもその辺りは保障しますから生活には不自由する事は無いと思いますが……」
「それは大変助かります、有難いですね」
頭領がヤン・ウェンリーに視線を向けた。軽く笑みを浮かべている。

「一つ約束をして欲しいのです」
「約束と言うと?」
「この宇宙から戦争が無くなろうとしています」
「……そうですね」
「混乱を引き起こす様な事は止めていただきたいのです」

静かな声だったが俺の耳には雷の様に響いた。ヤン・ウェンリーは混乱を引き起こそうとしているのか? 彼を見たが無表情に頭領を見ている。
「頭領の忠告を無視した事をお怒りですか」
「忠告?」

思わず口を出していた。頭領とヤン・ウェンリーが俺を見た。そして直ぐに視線を外した。頭領もヤン・ウェンリーもそのままあらぬ方を見ている。話の邪魔をした、バツが悪かった、だが口に出してしまった以上戻れない。この二人に
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