2 「竜鱗病」
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「いや、大したことじゃない。チミに渡したいものがあるだけさね」
「渡したいもの?」
席についてと言われると、シャンテにバッジのようなものを渡された。ハンターズギルドの紋章だ。色は紫。後ろはピンで止まるようになっている。
首をかしげていると、マネージャーが「うぃ〜ヒック!」と笑った。
「そいつぁチミの勲章さね。ハンターランク2となった証だ。大切にしてくれよ」
「え? ハンターランク2?」
「本当はもっと早く渡したかったんだがな、ちょっと準備に手間取っちまって遅れたのさ。悪く思うなよ」
「ハンターズギルドに登録したハンター様には、それぞれのランクに応じたバッジが配給されるのです。HR1なら白、2は紫、3は黄色、というように」
「おめでとうございます! 1ヶ月もしないでハンターランク上げるなんて、前代未聞ですよ! あっという間にリーゼとエリザを追い越しちゃいましたねっ」
ぱちぱちとシャンテが拍手した。満面の笑みを浮かべている。
どうやら自分が知らぬうちにHR2として認められたというのは理解できたが、何故突然そんなことになったのかがわからない。昇格クエストを受けて初めてランクアップ、が通例ではないのか。
疑問の声をあげるナギに、村長がにこにこしながら答えた。ナギのランクアップを祝福してくれているのが、なんだかこそばゆい。
「先日のファンゴの襲来。ナギさまのご活躍で、この村は無傷でいられました。重ねて、感謝申し上げますわ。そして、その功績は正しくナギさまをHR2へと昇格させるのにふさわしいもの。わたくしとギルドマネージャー、また村の方々にお集まりいただいて裁決をとりましたところ、全会一致でその案に賛成でしたので、予備のバッジを用意させていただきました。おめでとうございます」
「はあ…ありがとうございます」
まだ現実味がないが、もらえるものならもらっておこうと手を伸ばす。ひんやりとしたバッジを服につけると、なんだか自分もギルドの一員と認められたようで嬉しかった。
「本当のところ言うとな、村の全員が反対してもワシらはチミを昇格させるつもりだったんだ。まあ、丸く収まってよかったってとこだな。…ほれ、4ツ星からは採取ツアーに孤島と凍土、それに火山が追加されるだろ? これで全フィールドへは行けるっちゅーワケだ。今回のカエンヌみたいなことがまたあったら、頼りになるのはチミだからな」
「リーゼとエリザも、すぐ強くなりますよ」
「ひょっひょ、チミが言うなら心強いぜ。まあなんにせよ、ランクアップおめでとう」
「ありがとうございます」
集会浴場を出ると、深呼吸する。青い空を見上げると、ぐっと手を握り締めた。昨日の後悔と自責の拳ではない。これは決意の拳だ。
(……よし)
ナギは一直線にある高級宿へ
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