新風
運命の邂逅
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
レリウス、此処は笑う所じゃないからね」
思わぬ奇襲を受けた魔道師は灰色の眼を白黒させ、思わず沈黙の行を破りそうになったが。
豹頭王の疾らせた面白そうな視線を察知、辛うじて踏み止まり睨み付けるに留めた。
「真の賢者とは物事を糊塗せず、簡潔に語る術を心得ているものだな。
そうして貰えば俺も助かる、レムスを救う可能性が皆無とも思わぬ。
貴方が国王の器に非ずとは思わぬが、結論を性急に下す必要は無いと思うぞ。
パロを襲う黒魔道の陰謀を阻む根本的な解決策は、キタイを竜王の圧制から解放する事だ。
率直に語り時間を無駄にせぬ気遣い、痛み入る。恩に着るぞ、アルド・ナリス殿」
初対面となる豹頭王より真摯な挨拶を受け、闇と炎の王子は再び一礼。
普段は滅多に見せぬ夢見る詩人の貌を覗かせ、弟に良く似た微笑を披露する。
「古代機械を活用した超絶レベルの念話、精神接触は素晴らしい体験でした。
パロのみならずキタイ解放も視野に入れ、行動を決定する貴方に総てを御任せします。
元々古代機械は此の世界に属さず、不本意な番人に過ぎぬパロ聖王家の所有物に非ず。
無限の可能性を秘めた奇蹟の機械は猫に小判、貴方と《調整者》に属する物でしょう」
グインの瞳が煌き相手に欣快の至り、と同等の理解力を持つ相手に内心を告げる。
旺盛な知己欲と想像力を満たす格好の相棒に巡り会い、闇色の瞳に流星が過った。
「古代機械には大いに興味がある、ナリス殿の御知恵を拝借したいと思っているが。
リー・レン・レンが気懸り故、キタイ遠征を早急に実現する為に力を御借りしたい」
吟遊詩人の奔放無比な饒舌を熟知する実際家は、実兄の夢想家に釘を刺し話を誘導。
蛇の性を併せ持つ陰謀家は異を唱えず、無限に思考を拡げる事無く中原の情勢に話を戻す。
「耳に痛いですが尤もな御考え、ヴァレリウスに何時も叱られる悪い癖は封印しますよ。
貴方と話り合いたい事柄は無数に有りますが、現在只今の対処を優先しましょう。
問題は新生ゴーラを率いる我々共通の知人、イシュトヴァーンですね」
再び、トパーズ色の瞳が煌いた。
クリスタル公爵として中原の真珠を守り、キタイから殺到する真紅の激流を遮る《盾》。
世界最大の金剛石《ダイヤモンド》、クリスタルの炎ならぬ前大公の闇色に染まる瞳。
ある洞窟で起こった次元雪崩の際、世界を覆った黒い双つの月を興味津々の態で観察。
グインの前で説教は流石に憚り、仏頂面で天井を見上げる魂の従者。
嘗て魔導士の塔で導師を務めた魔道師、ロー・ダンに拾われた孤児の面影が覗く。
ヴァレリウスは猫族の瞳に煌く無邪気な光、内心を暴露させる誘惑の罠を堪え瞑目。
ルーンの聖句を唱え饒舌な魔道師の性、災いの元を固く締め懸命に精神を統
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ