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豹頭王異伝
新風
運命の邂逅
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 グインと会って少し話をしたら、すぐに戻るから何も心配は要らないよ。
 ヴァレリウスの他にも、40人を超える魔道師が私を護衛してくれる。

 ヨナの顔見せ、最高の演出となる機会を逃したのは実に残念だった。
 君の代役を務めて貰えた、かも知れなかったのだよ?
 一刻も早く情勢を落ち着かせ、時間を作る為に暗躍しなければならない。
 私も君も話したい事を山程、抱えているのだからね!」

 大公家の象徴《クリスタルの炎》を得て『守り、遮る者』とも称された聖王家随一の美男子。
 水晶の名を冠する聖王国の都を守る盾となるべき存在、麗人は天真爛漫な笑顔を披露。
 ヴァラキアのヨナは無言で微笑み、リンダに時間を譲る。
 仏頂面の上級魔道師ヴァレリウスは時間を惜しみ、閉じた空間の術を起動。
 ゴーラ軍が暴虐な野盗の集団に豹変する直前、マルガ郊外で撃退した援軍の許に回廊を開く。
 アルド・ナリスは最愛の妻に軽く頷き、闇の中へ溶け込む様に姿が消えた。

 ケイロニア軍の最高指揮官は魔道師の念波を受け、伝令の往来する間隙を縫い時間を確保。
 天幕の中で黄金に黒玉を鏤めた毛並み、独特の模様が異彩を放つ。
 人払いを命じた直後、天幕の内部に闇が渦巻いた。
 猫族に特有の虹彩と瞳孔の豹変、比率の反転を再現。
 微かに空間の揺らいだ異変を見逃さず、豹の眼が炯る。

「神聖パロ聖王アルド・ナリス殿、御会いするのは初めてだったかな。
 治療は無事に済んだ、と古代機械から心話を受けたが。
 何か、問題は無いだろうか?」
 トパーズ色の瞳を煌めかせた豹頭王、グインの笑みを含む声が歓迎の意を表す。
 リンダの幻視した世界を照らす《ろうそく》の炎、中原の希望を象徴する存在が応えた。

「初めまして、ケイロニア王ランドックのグイン殿。
 身体の回復は順調です、何も問題はありません。
 言葉に出来ぬ程、感謝している次第です。
 マルガに拠る神聖パロ帝国は今後、パロ解放軍と改称する事に決めました。
 今後は聖王レムスに憑依する竜王の排除、クリスタル解放を目標に掲げます。

 私は国王の器ではありませんから、パロ聖王位を請求する心算はありませんが。
 最早アルシス王家とアル=リース王家の確執、と思われる事も無いでしょう。
 公然と竜の騎士が姿を現し、世界の根幹を揺るがす事態に至っていますからね。
 リンダの愛する弟レムスを竜王から解き放った後、キタイ遠征に協力する心算です。
 彼を国王として認める事に何の蟠りも無い、王位継承権を放棄する事も考えています。

 私も多少は目を開かせて貰ったし、リンダの為にも1番良い解決だと思いますがね。
 以前の様な猜疑心、相互依存の関係は棄て真実の信頼関係を構築する様に努めますよ。
 ヴァ
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