第14話 仲良くケンカしなって言うけど……じゃぁ具体的にどうやってケンカすりゃ良いんだよボケがぁ!
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…なのはって名前だったんだ」
「なっ!」
士郎の発言に流石の銀時も驚きを隠せなかった。世の中には同じ名前の人間は沢山居たりする。だが、今回のそれは何処か違う気がする。そう思えていたのだ。
「って、それじゃ……その赤ん坊は何処に居るんですか? 僕達一度も会ってないんですけど」
「会える訳ない。あの子は……なのはは、生まれて間も無く、行方が分からなくなったんだ」
士郎は語った。今から9年前に起こった、悲しい出来事を……
今から9年前。高町家に待望の三人目の子供が生まれた。球の様に可愛い女の子だった。家族全員が諸手を挙げてその赤ん坊の誕生を喜んだ。
士郎は、早速その子の名前を夜通しで考え抜いた。恭也や美由紀に尋ねたり、桃子に相談したりしながら必死に脳を絞り込んで考えた結果、その赤ん坊の名前はなのはになった。
家族の誰もがなのはが健やかに成長する事を願った。だが、誰もが続くと思われたその幸せな時間が、一瞬にして奪われる事となった。
その日、自宅にてベビーベットの上で眠っていた筈の赤子の姿が忽然と消えていたのだ。
誘拐事件と認識した士郎達はすぐさま警察に連絡、必死の捜索を行った。しかし、警察も動員した必死の捜索にも関わらず、犯人は愚か痕跡すら発見する事も出来ず、誰もが諦めきってしまい、それから実に9年の月日が流れ、現在に至る次第であった。
「なる程な、道理でその赤ん坊の姿がない訳だぜ」
銀時自身半ば予想はしていた。9年前に生まれて行方不明になった。そして、自分もまた、9年前に赤子を拾い、こうして育ち目の前に居る。とても他人とは思えない。そんな疑惑が浮かび出していた。
「ねぇ、銀さん……その子、少しだけ、触れて見て良い?」
「あぁ、俺は良いが……」
ふと、銀時は眼下に居るなのはを見下ろした。その視線を感じ取り、なのはもまた銀時を見上げる。
「お前は良いか? 良いんなら、ちょっくら甘えて来い」
「う、うん」
半ばぎこちない動きでなのはは桃子に近づく。彼女の目の前にまで近づくと、桃子はそっとなのはを両手で抱き締めた。桃子からは、銀時からは感じられない温かさと匂いが感じられた。
銀時から感じられるのは父親らしい強さと大きさが。そして、この桃子からは優しさと、何故か分からない懐かしさが感じられた。
「どうだ?」
「良く分かんない……でも、この人からは、何だか懐かしい匂いがする……まるで、ずっと前に感じた匂いかも知れない」
「そうか……」
上手く言い表せないながらも、必死にそれを言い表そうとする子供らしい発言であった。それ故に分かり易い。幾ら銀時が大切に育て上げたとしても、それは父親。銀時では母親にはなれない。そして、なのはは桃子から遠い昔に感じた母親の温もりを感
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