経験
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「やれやれだ。 少し、やりすぎたか?」
少女がアオアシラを無事に倒した所までは及第点を与えられる。 足運び、太刀の振るい方、モンスターの行動を学ぶ学習力。
狩りに関する事は貪欲なので、道具や罠の使い方も覚えれば上手く使いこなせるだろう。
それはともかく、まさかあれほどの抜刀術まで会得しているとは思わなかった。 自分の組んだ練習メニュー以外を黙ってこなしているのは知っていたが、まさかあそこまでとは思わなかった。
神速の斬撃。 まさしく人が全霊を込めて放つ一撃必殺を旨とした抜刀術。
そこまでならば非常に好感触な狩りで一日を終える事が出来たのだろうが、そうそう都合良くいく事など殆ど無い。 ジャギィはここ渓流に多く生息しており、狡猾な種族としても一般的に知られている為、ここで行動する場合には常に彼らの事を警戒しておくべきである。
しかし少女はそれを怠った。 アオアシラだけに意識を注ぎ、終了したら警戒を弛緩させ、緩み切ってしまった。
ジャギィ種が見張り、漁夫の利を狙っていたのは気付いていたので、あえて小女から離れ、好きにさせておいたのだが、嫌な方向に見事予感的中してしまった。 まぁ、考えるより動く。 習うより慣れるという小女には最適な学習方法かもしれんが……。
「ここまでの群れとは予想外だな。 粗すぎる指導のお詫びにと言うわけでもないが、君は休んでいなさい」
輪の外からの奇襲によって小女を中心から救い出すことが出来た。 ヘトヘトな状態ながら太刀を仕舞わずに構え続ける精神には天晴れだが、このような状態では戦う事など無理だろう。 元々、この年齢であれほどの抜刀術を繰り出せる肉体練度も、初のソロ狩猟の後さらに戦おうとするこの精神力ももはや天分の才を感じざるを得ない。 こんなところで失うのは惜しいと思い、下がるように伝えるが小女はそれを態度で拒否の意を示し、太刀を構えなおす。
「目標は達成しましたけど、まだギルドに確認してもらってないので正式な成功とは言えないでしょう? 戦います。 最後まで……やらせてください」
真摯な口調とそれを体現している態度で言われては、こちらからわざわざ止める必要もない。 煙草を携帯灰皿に仕舞い込み、弾丸を装填し直して銃口をしっかりと安定させる。
ドスジャギィも乱入者を脅威と見なしたのか、鳴き声を複数使い分けながら指示と思わしき声を上げている。
二人の狩人とジャギィ軍団。 一瞬の間の後、激突した。
正面のジャギィが走りだすのと、重弩の発砲音。 そして小女が疾走するのは全て同時だった。 装填された通常弾LV1がジャギィの顔面を捉えて怯んだ所に斬撃で止めが刺される。 だが一匹仕留めた所で形勢は変わらない。 奥から奥から断続的に波状攻撃が仕掛けられ、大抵の生物なら
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