経験
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うとするが、上手く足が動いてくれない。 そうこう上手く動かない脚と格闘しているうちに、状況に変化が起きた。 今まで回避に徹していた老人が、僅かに出来た隙に弾丸を打ち出したのだ。 しかし、弾丸が直撃してもドスジャギィは怯む様子をまるで見せない。 当たる箇所から僅かに青い煙が上がる以外、何も変化は無いように見える。 にも関わらず、老人は重い重弩を構え続け、僅かな隙を突いて装填、発砲を続けて行く。
更に続いた後、ついに変化が起きた。 ドスジャギィの動きが今までと比べ、圧倒的に温くなっているのだ。 攻撃をかわされた後、追撃するわけでも、防御するわけでもなく、荒い呼吸を繰り返して何度も立ち止まってしまう。
その大きな隙を突いて散弾LV1で攻撃し始めると、さすがに耐えられなくなったのか、一声ないて踵を返して走りだした。 生き残って、ドスジャギィの戦いを見守っていた個体も、突き従って走り去って行く。
僅かな時間のうちに、一帯に居た鳥竜種は死体を除いて走り去って行った。 それでも一時周囲を警戒し、周囲を軽く見回ってみる。 どうやら、本当に撤退したらしく周囲に気配は全くなかった。
「さて、まずは怪我の治療かな?」
モンスターの襲撃を退け、少女を助け起こした老人はそう言ってポーチから道具を取り出して行った。
○
少女はベースキャンプに帰る道すがら、老人に対して質問の超速射を浴びせていた。 なぜ途中で居なくなったのか、なぜ居たのならもう少し早く出てきてくれなかったのか、ドスジャギィに使ってた弾は何なのか、自分がどれだけ大変だったのか分かっているのか、進んでいるうちに質問ではなく愚痴に変わって来ていたが、老人はそれらを笑って受け流して行く。
「ところで、あのドスジャギィって狩らなくていいんですか? 依頼には無かったですけど、被害出ちゃうんじゃ?」
「あのドスジャギィが人に害を成すとは限らないだろう? 人という存在の実力は思い知らせたし、群れも半壊した。 まともに活動するにしても、先送りだろうな。 まぁ、どうしてもと言うのならまた君一人で挑んで……」
「今は絶対いやです」
……今は……か。
その言葉を心中で繰り返し、少し過小評価していたかと反省する。 どうやらこの少女は、自分が思っていたよりも素晴らしい原石だったのかもしれない。
ベースキャンプに辿り着き、待機していたギルドのアイルーにターゲットの位置を伝え、確認に行ったアイルーを見送る。 少女はベットにだらしなく倒れ込み、老人は道具類を荷車に運び込んで行く。 何時もなら小言の一つでも飛ばして手伝わせるが、今ぐらいは良いかと黙々と一人で片づけを済まして行く。
「……師匠」
「? なんだ。 もう寝たものと思っていたが」
横になっていた少女がポツ
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