経験
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る相手だが、今少女の体は限界に近い。 そんな満身創痍の相手にドスジャギィは負けはしないだろう。 いや、量で押し込めば部下たちでも十分勝てる程度の相手だ。
一人なら、の話だが。
今の少女の後ろには老人が居る。 普通なら隠居してもおかしくない齢だが、その技術、考え方、そして生き様。 その全てを少女に教え、伝えるために老人が居る。 彼が来ただけで彼女の精神は大きく変わった。 肉体的な疲弊を感じさせない速度で太刀を振るい、荒い攻め方を老人がカバーし、時には突破口を作ってフォローしていく。
『ガァァアア!!』
咆哮を上げ、鋭い爪を振りかぶる。 それに対し少女は太刀を振るい、爪に当てて進路を逸らす。 返す太刀で傷を付け、斬り払いで牽制しつつ背後へ下がる。
それを好機と見たのか、大きく踏み出し巨大な口で一噛みしようと首を伸ばす。 そしてその眉間に打ち込まれる一発の弾丸。 通常弾LV1程度ではさすがに止める事は出来ないが、いきなり目の前に打ち込まれれば大抵の生物は目を反射的につぶってしまう。
相応の対策を施さず、視界を閉ざすのは自殺行為だ。 地を強く踏みしめ、疾風のように肉薄する少女。 瞬きの様な一瞬の間ではあるが、次ドスジャギィが目を開けた時、目の前にあるのは鋭き刃。 太刀が鋭く突き込まれるが、ドスジャギィは反射で頭を動かし、太刀が眉間に突き込まれる事は無かった。 代わりに頬を鋭い裂傷が走って行く。 顔とはいえ、頑丈な鱗に守られているのでそう簡単にダメージには至らない。 振りまわされる尻尾は屈んでやり過ごし、弾丸と斬撃が着実にダメージを与えて行く。
「(……そろそろ決めるか。 気丈に動いてはいるが、疲れで集中力が散漫になっている。 これ以上はまずい……)」
老人は心中で呟き、ドスジャギィの注意が少女に向いているのを確認して空薬莢を排出。 新たに取り出した弾丸を装填し、しっかりと狙いを付ける。
その時、ドスジャギィの爪がついに少女を捉えた。 太刀で逸らそうとしたものの、脚に掠り痛みで尻もちをついてしまう。 止めを刺そうとするドスジャギィの首筋に向けて、引き金を引き絞る。
螺旋状に空気を切り裂きながら飛んで行く一つの弾丸。 数多の通常弾に耐えてきた鱗に打ち出した弾丸が衝突し、貫いて行く。
『ガアァァ!?』
突然の激痛についたたらを踏んでしまうドスジャギィ。 もう一吠えし、少女には見向きもせずこちらに直進してくる。 どうやら完全に頭に血が上っているらしく、目がぎらつき、荒い息使いで攻撃を仕掛けて来る。
「……! 師匠!」
ドスジャギィの間合いで立ち回りを続ける老人を心配し声を上げ、自らも参戦しようとするが、立ち上がろうとして、脚が動かず、前のめりに倒れてしまう。 疑問に思い、もう一度立ち上がろ
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