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渦巻く滄海 紅き空 【上】
五十五 図南鵬翼
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応にも目に入る死神の存在に改めて恐怖を覚える。同時に身体の力が抜けてゆくのを感じ、大蛇丸は焦って声を張り上げた。
「この老いぼれが…!死ぬのは貴様のほうだ…ッ!!」

蛇に視線を向ける。途端、更に深く刺さってくる小刀にヒルゼンが苦悶の声を漏らした。その声ににやりと笑う大蛇丸。だが直後、笑みを象ったその唇が歪んだ。

〈猿飛ッ!!〉
数多の蛇から身を捩る。自らの身体に絡む蛇はそのままに、閻魔が渾身の力でヒルゼンの身体中の蛇を払い落としたのだ。その上、その場にいる蛇全てをむんずと掴んで煙と化す。【口寄せの術】を自ら解く事で蛇達が二度とヒルゼンに近寄らぬようにしたのである。


蛇を道連れに消えた閻魔を目の端に捉え、ヒルゼンは心の内で謝礼を告げた。すぐさま大蛇丸に視線を戻す。いきなりの展開に一瞬呆けていた大蛇丸が徐々に目つきを険しくさせた。
焦り始めた大蛇丸が必死の形相で怒声を浴びせてくる。

今まで憎たらしいほど図太かった愛弟子の顔色がはっきりと変わる様を、師は穏やかな面差しで見つめた。目を細める。

「お前の野望はここで潰える…!!」


閻魔の助力により眼に力を宿したヒルゼンは、大蛇丸の魂を抜き取ろうと力を入れた。足掻こうにも意識が遠退くのを感じた大蛇丸が死の恐怖に顔を引き攣らせる。同様に術の効果で、ヒルゼンもまた視界が翳んでゆくのを感じていた。

「まだだ…!まだ私の野望は止まらぬ…ッ!!」
「木ノ葉崩し、破れたり…ッ!!」

風前の灯火。死ぬ寸前、翳む視界の中で澄んだ声が響いた。





「貸し一だ、大蛇丸」


刹那、木ノ葉の里長―猿飛ヒルゼンと音の里長―大蛇丸の間に、ひとつの人影が突如割り込んだ。

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