五十五 図南鵬翼
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
い事に、尾獣の強大な力でさえも無力と化す恐ろしいほどの束縛力。
上から響く怒鳴り声に顔を顰める。頭を冷やした九喇嘛は鬱陶しそうに守鶴を仰いだ。金の髪が風に靡く。
九喇嘛は自らを封じる鎖を忌々しげに見下ろした。未だ喚いている守鶴を抑え込むやり方は確かに知っている。ナルトに従うのは癪だが、それ以上に守鶴の耳障りな声を止めるほうが九喇嘛にとっては先決だった。
《ふん…まあいい。さっさとこの戒めを解け。あの霊媒を起こせばいいのだろう》
「理解が早くて助かるよ」
口許に微笑を湛えたナルトがパチンと指を鳴らす。途端、いくら暴れてもビクともしなかった頑丈な鎖が簡単に外れた。
瞬く間に自由の身となった九喇嘛。ナルトに目をやると、彼は涼しげな無表情でこちらを見つめている。
されどその目の奥には尾獣でさえも圧倒する威圧感が秘められていた。
ナルトから目を逸らす。守鶴に視線を投げた九喇嘛は億劫そうに溜息を吐いた。未だ鎖で縛られている巨躯の上へ飛び移る。
敏捷な動きで頭上へ登りつめた九喇嘛が下を覗くと、ナルトの姿は既に無かった。けれど確かに、突き刺さるような視線を感じる。
見られているのを察して、九喇嘛はチッと舌打ちした。紅き双眸を閉じる。
《おい…起きろ!》
「…ハッ!?」
パチリ。
青き双眸を見開く。
大きく肩を跳ねて、波風ナルは何度か瞬きを繰り返した。目の前に我愛羅がいる光景に首を傾げる。何時の間に守鶴の上へ飛び移ったのだろうか。
九喇嘛の意識と入れ替わったなどと知らぬナルは不可思議な展開に戸惑いつつも、我愛羅の顔を覗き込んだ。呼び掛ける。
「おい…」
ぶらんと腕をぶら下げている我愛羅。似た境遇同士、話し合えるかもしれないと直感したナルは彼の肩を揺さぶった。
「起きろってばよ!」
術の影響で眠り込んでいる我愛羅へ必死で呼び掛ける。けれど何度呼んでも揺さぶっても起きない彼にナルは痺れを切らした。拳を握り締める。
「目を覚ませ!!」
そして彼女は、もう一人の自分へと拳を振り上げた。
どうやら決着がついたらしい。
守鶴の姿が砂となって崩れゆく様を、ナルトは見上げた。秘かに印を結ぶ。
瞬間、目に見えぬやわらかな風が墜落するナルと我愛羅を包みこんだ。地面に激突する衝撃を和らげる。
人知れず二人を無事に地上へ降ろしたナルトは、【念華微笑の術】で香燐と君麻呂に連絡をとった。サスケとサクラをナルの許へ向かわせるよう指示する。
次いでナルと我愛羅の様子を見る。双方ともチャクラの使い過ぎで身体は暫く動かないようだが、大した怪我もないように見受けられた。
地に倒れ伏す二人の無事な姿を遠目で確認し、そこでよ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ