準備
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ら雑言が飛んでくるが気にもならない。 大体、ベースキャンプの骨組は扱い易さを起点としており大きくも軽く、そして丈夫という理想的な材質で出来ている。 その軽さは立て方さえ教えれば小さな子供でも組み立てる事が可能なほどだ。 立て方が分からないのならまだしも、ハンターとしてやって行く! と豪語している者に出来ないわけがない。 これから大きな桶に水一杯汲んで往復するのに少し憂鬱とするが、今の弟子では仕方ないと割り切り山道を下って行った。
○
「ハッ!!」
普段の彼女では想像すらできないような鋭い声を出し太刀を一閃する。 それにより複数いた小さな群れの最後のジャギィは胴体に深い傷が刻まれ、命を落とした。 彼女は最後のジャギィを倒しても構えを解かず、周囲に気を張り巡らす。 およそ十秒、周囲に危険が無い事を確認すると己の武器『ユクモノ太刀』の血を払い、ポーチから携帯砥石を取り出して失った切れ味を取り戻して行く。
「ジャギィ相手なら、問題無く立ち回れているな。 足運びも、腰の使い方もしっかりしてきている」
邪魔にならない、そしてジャギィ達に気付かれない位置で見守っており、終わったと同時に姿を現した老人が声をかける。
モンスターという生命力の面では圧倒的に格上の相手に勝つ為の必須能力。 それはスタミナであると老人は考えている。 昨今は技術面や道具の使い方ばかりに目を向けているハンターが多いが、最も大事なのは走ること。 人間の肉体は基本的に総じて脆い。 人間はその脆い肉体で世界相手に生き残る為に頭脳を用いて生き残って来た。 だが相手は強靭な肉体で世界を生き残って来た豪傑揃い。 知識がいくら詰まっていようと、知恵がいくら湧いてこようと、それを実践しなければいけないのは所詮人である。 走りまわるのも、武器を振るうのも、そして危険な時に逃げるのにも、それこそスタミナが無ければ何もできない。
だからこそ、彼女には何よりもまずスタミナを鍛えさせた。 技術面と言えば彼女の得物の太刀に関する基本知識と握り方、振り方、足運び程度。 後は全て基礎体力に時間をかけてきた。 彼女も彼の考えに賛同し、ずっと基礎増強を貫いてきた。 その成果が今問われている。 彼の教えは老人の時代遅れの戯言では無かったのか。 彼女が今まで行ってきた鍛錬に意味はあったのか。 狩りの世界では常に結果が求められている。 結果無き過程に意味など無いのだから……。
「えへん! ジャギィくらいなら何匹だってやれますよ!」
「……後は、少し謙遜というのも覚えるのだな」
けんそん? と首を傾げた彼女だが、ハッとしたようにジャギィ達に目を向けると剥ぎ取りナイフを手にいそいそと剥ぎ取りをし始めた。 どうやら考えるのは放棄したらしい。 彼の予想以上に体力が付いたのは喜ばし
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