第一幕その二
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することは誰にも出来ない筈だ」
彼はそう言うと空いている場所に腰を下ろし休んだ。やがて休憩も終わりシャンデリアに灯りが灯された。
そして客がやって来る時間になった。伯爵夫人は今度は客人達の出迎えに向かった。
「お母様」
マッダレーナはサンルームの入口で客人達を出迎える母に尋ねた。
「今日は高名な詩人の方が来られるそうだけれど」
「フレヴィルさんかしら」
「あの方は文筆家だったと思うけれど」
「そうだったわね、一体誰だったかしら」
そんな話をしていた。ジェラールはそれを部屋の端で客人達を席に案内しながら聞いていた。
「フレヴィル?イタリアからわざわざ来たのか」
彼はそれを聞いて顔を入口に向けた。
「それに詩人も来るのか。どうせいつもの軽薄な奴だろう」
彼はあまり詩というものを好まなかった。貴族の余興程度に思っていた。
マッダレーナは両親と一緒に客人達を出迎えている。ジェラールはそんな彼女をしばし見ていたがやがて視線を離して仕事に専念した。
仕事は順調ではあった。だが忙しい。それは誰もが同じであった。
だがジェラール達はすぐにその場をあとにした。他の仕事が入ったのである。
「おい、行こうぜ」
「ああ」
彼は同僚に促されその場をあとにした。
マッダレーナは部屋の端で自分のドレスを見ていた。どうも今一つ気に入らないらしい。
「何か変じゃない?」
ベルシに問うた。
「そうかしら」
彼女は首を傾げた。
「私はそうは思わないけれど」
「そう?」
「ええ。貴女白いのが似合うし」
「いえ、色じゃなくて」
彼女はベルシに対して言った。
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