第百二十九話 一月その十一
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「島津家、そして棟梁である四兄弟を抑えることは難しいでしょう」
「人もありますか、島津には」
「そうでうs、その四兄弟もいますので」
島津家は強いというのだ。
「また伊達家も片倉殿や従兄弟の成実殿がいます」
「国は人ですな」
「織田家と同じく」
「そう考えるとわかりやすいですな」
「はい、そうなります」
こう話す、そうしてだった。
明智は微笑んでこう羽柴に言った。
「では今宵はもう」
「ですな、明日に備えまして」
「ゆっくりと休みましょう」
「夜のうちに朝倉殿から文が来ればいいですが」
羽柴はまだ戦を避けられればと思っていた、それでまだ望みを捨てずこう言った。とはいっても覚悟はしていた。
それで明日に備えて今はだった。
「寝て待ちましょう」
「そういうことですな」
明智も羽柴に応えそうしてだった。
二人は別れそれぞれの部屋に入る、そのうえでこの日はよく寝た。
夜が過ぎ朝日が昇ると共にだった、信長は目を覚まし家臣達に高らかに告げた。
「よし、出陣じゃ」
「既に用意は出来ております」
信長の部屋に丹羽が入って来た、そのうえで信長に答えたのである。
「それではですな」
「具足を持って来るのじゃ」
「ではすぐに」
「この前に作らせたものじゃ」
丹羽に楽しげな顔でこう返す。
「あれをな」
「といいますと陣羽織も」
「無論じゃ、あの陣羽織じゃ」
「ここで傾かれますか」
「ははは、爺の驚く顔が目に浮かぶわ」
「殿は昔からまず平手殿を驚かされますな」
「それが面白いのじゃ」
わかっててやるというのだ、傾くにあたって。
「爺が驚くのを見るのがな」
「それがし達は驚かせませぬが」
「御主達は褒めるからな」
驚くのではなくそれだからだというのだ。
「あまり面白くない」
「驚かせることがお好きですか」
「そういうことじゃ、それではじゃ」
「はい、まずはですな」
「あの具足を着ける」
そしてだった。
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