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でも奴は……死んだのだろう。
「………」
殴り疲れたのか、泣き疲れたのか、それともどっちもか。気づけば、画面のある壁にもたれかかって眠っていたようだ。しかも、思い出していたのはやはりあいつのこと。
あいつがいた部隊は、今後どうなるのだろう。よくてリンドウさんが新隊長、悪くて解散だろうか?
「リュウジ……お前が死んでどうするんだ。お前の変わりなんて、この世には……」
「アツシ、いるか」
再び、扉の前から声がした。今度はコウタではない。落ち着いた、女性の声だ。
「……ツバキさんですか? どうぞ」
コウタの時と同じように、音を上げて扉が開く。書類を片手に持ったツバキさんがそこにいた。
「どうかしたんですか?」
「特例が降りた。お前に、ミッションを依頼したい」
「……特例、俺に?」
「お前には、荒鉄リュウジの捜索を行ってほしい」
「!」
俺は思わず立ち上がっていた。
「……リュウジは死にました。貴方たち上層部がそう言った。今更何が言いたいんですか?」
「奴は死んでいない。生きている可能性がある」
「ふざけるな!」
俺はまた画面に拳を叩きつけた
「リュウジは死んだ……何を見ても明らかでしょう!? 分かりやすい嘘の希望を持たされるくらいなら、絶望した方がマシた!」
「生きていると言っているのだ!」
ツバキさんの大声に、思わず怯んでしまった。
それをいい事に、ツバキさんは更に続けた。
「奴の腕輪のビーコンが消えた地点は、贖罪の街、教会エリアだ。あそこは建物内部の為、遺体が残れば雨風に晒される事はない」
そして1つのファイルが俺に手渡される。
俺は黙ってそれを開いた。
「それは教会内の探索結果だ。奴のビーコンが消えた地点では、奴の遺体、神機、腕輪は愚か、服の切れ端一枚見つかっていない。捕喰されたとしても、ここまで何もないのは異常だ」
「神機は、アラガミに突き刺さったままになってるんじゃないんですか?」
「奴がそんなヘマをする人間だと思うか?」
「……思いませんね」
「そういう事だ。だが、これは上層部が判断した結果を無視した、言わば命令違反だ」
俺が驚いてツバキさんを見ると、信じられない事にツバキさんが頭を下げていた。
「これは、私の個人的な依頼だ。頼む」
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