第三幕その五
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「な・・・・・・」
彼は断られるだろうと考えていた。断ってほしかった。それで諦めがつくからだ。
「それであの方が助かるのなら」
彼女は今にも壊れそうな顔でそう言った。小さいが強い声で。
「私は喜んで貴方のものになりましょう」
「・・・・・・・・・」
今度はジェラールが沈黙した。彼女の心を知り何も言うことができなくなったのだ。
「私の様なものの犠牲であの方が救われるなら」
彼女はここで顔を上げた。
「私は喜んで犠牲になりましょう!」
そして今までとはうって変わって激しい声でそう宣言した。
やはりジェラールは何も言うことが出来なかった。マッダレーナは言葉を続けた。
「革命が起こった時のことです」
彼女は言った。
「人々は私の屋敷にも雪崩れ込んで来ました。そして家の者を次々と殺していきました」
「そうでしょうね」
否定することはできなかった。革命を全て見てきたからだ。
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