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「……え?」
その瞬間、シズルとエミリアは信じられない物を目にした。
アサッシンの鎌は空を切り、リュウジは既にその背後に回っていたのだ。
速い。異様なまでに。
そして剣をアサッシンに向けると、さらに予想もしない行動に出た。
「遅ぇ!」
喰った。
武器から、黒い獣の口のような物が飛び出し、グラス・アサッシンに喰らいついたのだ。
牙で引きちぎられた肉、溢れる血、そして美味そうにそれを喰う得体の知れない何か。
「う、わ……!」
あまりの光景に、エミリアは腰を抜かしてしまったようだ。シズル自身、エミリアを心配する手が震えている……
「おい、そのガキを連れてとっとと隠れてろ!」
すると、見かねたリュウジの声がシズルの意識を取り戻させた。
「で、でも……」
「聞こえねぇか!? それでよく戦おうとしたもんだな! とっとと隠れろ、これは命令だ!」
あまりの気迫に、シズルは息を呑む。
そして思った。あれはひょっとしたら、僕の想像するような人間ではないのかもしれない、と。
ぐったりしたエミリアを抱きかかえ、建物の陰に隠れる。それでもシズルは、リュウジの戦いを見続けていた。
見とれていたというのが正しいかもしれない。彼の戦いから、目をそらすことができなかった。
よく見ると、グラス・アサッシンを捕喰したせいか、リュウジの体に赤茶色のオーラが立ち上っていた。
異質な光景といえばそうだ。あの男と武器が繋がっているという事を、シズルは知っている。
つまる所、あの男がグラス・アサッシンを喰った事になるのだから。
「ちっ、剣は効きにくいか? めんどくせぇ……」
リュウジがまた武器を振る。すると、また予想だにしない事が起きた。
武器が変形し、巨大な銃になったのだ。
「レーザーカノン!?」
いつの間にか起き上がったエミリアが声を上げる。
が、あれはレーザーカノンではない。サイズも、構えも違いすぎる。
そしてシズルは、また驚かされる事となった。
「そこだ!」
リュウジの持つ武器の銃口から放たれたのは、アサッシンが使う粘液攻撃だったのだ。
「1日にこんな何度も驚かされる事になるとはな……」
酸性の強い液体が、アサッシンの皮膚を溶かし焼く。
しかもリュウジは、そんな攻撃を三発も放ったのだ。それも、同じ一点を狙って。
「よし……」
焼けただれた一点は、硬い甲殻が解かされ、中の肉が丸出しになっていた。
「まさか、アレを狙って……!?」
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