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グラールの神機使い
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数日後、惑星パルム 旧ローゼノムシティ周辺



「ねー、まだなのー?」

「情報が正しければこの近辺のはずなんだが……」

 シズルとエミリアは、旧ローゼノムシティを訪れていた。

 というのも、数日前、この近辺で巨大な亜空間が発生したとの報告があったのだ。

 カムハーン亡き今、亜空間が発生する原因がわからな。

 そこで、亜空間研究の第一人者として2人が調査にかり出されたのだ。

「ただの調査なら普通に研究員にやらせればいいじゃない……あー、しんど」

「まったく、君はいつまでたっても無神経だな……原因不明の亜空間発生なんて、普通じゃあないだろ? だったら、普通の研究員に任せられないのはあたりまえじゃないか」

「そりゃ、まぁそうだけど……」

 エミリアは頬を膨らませてシズルを睨む。そんな表情はとても可愛らしいのに、お尻を掻く手で台無しだ。シズルは溜め息をついた。

「まったく……ん? な、なんだこれは!」

「どうしたの? ……キャア!」

 角を曲がった先、無残に切り裂かれた原生生物の亡骸があった。それも、大量に。

「だ、誰がこんな酷い事を……」

 今の時代、原生生物はフォトンの力で気絶させるだけというのが普通だ。このように惨い仕打ちをしていいはずがない。

 しかも、どの傷口もシャーベットのように凍りついていた。

 よほど冷気の強い武器で斬りつけたのだろう……凍って血すら出ていない。

「うぇ……っ!」

「エ、エミリア! 大丈夫か!?」

 耐えきれなくなったのかエミリアは、口元をおさえてうずくまってしまった。

「うぅ、こんなの……こんなのって……」

「大丈夫かい? ほら……」

 うずくまって泣き出すエミリア。シズルはその背中をさすりながら、黒いハンカチを差し出した。

「う……ぐすっ、だ、誰が、こんな、こんなヒドい事……」

「わからない。例の亜空間発生と、何か関係があるのかもしれないな」

 エミリアは受け取ったハンカチで涙を拭うと、まだおぼつかない足で立ち上がった。

「シャトルへ戻るか?」

 シズルがそう聞くが、首を左右に振って歩き出す

「大丈夫……こんなヒドい事するヤツ、許せない! 私が直接話してやる!」

 そして愛用のロッド、クラーリタヴィザスを構えると、先ほどまでの様子が嘘のようにずかずかと歩き出した。

「……本当に大丈夫みたいだな」

 シズルもツミキリ・ヒョウリを構えると、エミリアに付いて歩きだした。

 奥へ奥へと進むに連れ、凍りついた原生生物の亡骸も増えていく。

 1つの亡骸を見たとき、シズルがある事に気が付いた。

「……弾痕?」

「え?」

 
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