第三幕その二
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達もそこに集まっている。
「今夜出発です。そしてお孫さんはフランスの為に活躍することでしょう」
「願ってもない幸せです」
彼女はそれを聞くと微笑んだ。
「あとは貴女の目と杖ですが」
「それは我々が」
周りの者が出て来た。そして老婆の手を取った。
「お婆さん、行きましょう」
「あ、有り難うございます」
彼女は謹んで礼を言った。
「貴女は革命に全てを捧げられた。今度は我々が貴女に捧げる番です」
「有り難い、私の様な何の力も無い老婆に」
「お婆さん、それは違います」
そこでジェラールが言った。
「貴女は今まで貴族達の圧政に耐え、そして今は革命に全てを捧げられました。貴女もまた一人の闘士なのです」
「私が」
「はい。ですから誇りを持って下さい。革命の戦士、自由の戦士としての誇りを」
「誇りを」
「そうです、今まで我々が持つことすら許されていなかった誇りです。それを持ち胸を張って下さい」
「わかりました」
彼女はそう言うと歩き出した。それまでの弱々しい足取りではなかった。
「これからは全ての者がそうして歩ける時代なのです。古き呪縛から解き放たれて」
「古き呪縛」
「そう、古い呪縛だ」
ジェラールは市民達に対して言った。
「今やそれから解き放たれた。そしてそれを守る為に戦おう。行こう、戦士達よ。全ては勝利の先にある!」
「おお!」
市民達は掛け声をあげた。そして口々に叫ぶ。
「フランス万歳!」
「自由と平等よ永遠なれ!」
その声が場を支配した。そして彼等は老婆を導いてそこから去っていく。
マテューが彼等を先導をする。そこに残ったのはジェラールだけであった。
「さてと」
そこに兵士達がやって来て掃除する。馬車も引かれてそこから消える。やがてあの密偵がやって来た。
「同志ジェラール」
「久し振りだな」
彼は側にやって来た密偵に対して声をかけた。
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