ブショー、決断する。
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「さーてと、」
穴から外へ抜け出し、シオンは一人月を眺めて言った。
「これからどーすんだい? チャンスは与えたから、それをあんたがどう使うかはあんた次第さ。この町から逃げるか、それとも、再戦のため修行するか……?」
シオンから言われた言葉をカズヒデは真摯に受け止めていた。
それは、彼も理解していた。
今では、ヒデヨシには勝てない。それは実力から、経験から、どっちからもわかることだった。
「……、」
「さあ、どっちにするんだい? 急がないと、彼女に会う時間すらもないよ」
「……それは、どういうことだ?」
「ああ。言わなかったっけ? あの子……オイチ様は、3日後、ノブナガ様のいる城へ運ばれるらしいんだよ。たぶん今までいたのはノブナガ様がイナバのほうを侵略しているからだと聞く。それが終わったのだろう。だから、もうチャンスは残されていないの。わかる?」
「……それじゃあオイチ……いや、オイチ様は……!!」
「そーいうこと」
シオンは煙草を蒸すように口に何かを加えながら、言った。
「さぁ。あんた、どうするんだい。彼女の気持ちを、無下にするつもりか?」
「俺は…… 彼女を……!!」
「救いたい、んだろ? 言っとくが救ったのは私だ。そしてそれはオイチ様に命じられたようなもんだ。すなわち……あとはわかるな?」
次の日から、カズヒデはシオンの下、修行に取り組んだ。
誰のためでもない。
カズヒデのためでもない。
そう、
オイチのために。
彼はどんなに厳しい特訓でも乗り切るのだ。
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