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ヴァレンタインから一週間
第25話 夢
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回、あの場所に化けムカデが顕われた理由は……。

「一応、この部分は有希の頭の隅にでも置いて於いてくれ。
 今回のこの羅?(ラゴウ)星が顕われた事件は、涼宮ハルヒが偶然に起こした学校中に呪符を貼りまくった事に因り発生した事件」

 しかし、その事件に介入した存在の目的が、この世界にクトゥルフ神族の邪神シュブ=ニグラスの因子がハルヒに植え付けられる事件自体の発生を阻止させる事なら、
 その事件を起こす存在。今年の七月七日に、この世界のキョンと未来人朝比奈みくるが過去に向かって旅立って貰わなければ困る存在からの介入も有り得る、と言う事を……。

 俺の言葉に、かなり緊張した面差しで首肯く有希。
 そう。今回の介入が最後の可能性は低い。これから先にも、この程度の介入。直接、自らが介入している、と言う尻尾を掴ませないタイプの介入ならば、ヤツも行って来る可能性は高いと思いますから。

 今回の化けムカデと遭遇した事件の黒幕が、這い寄る混沌と呼ばれる存在ならば。



 一通りの説明が終わった後、再び、世界は俺が目覚めた時と同じ。冬の夜に相応しい静寂の支配する世界へと移り変わっていた。
 ただ、世界を支配する雰囲気が変わって居ましたが。
 最初は、俺が目覚めた事に対する喜びと、それに相反する目覚めた事に対する不安。更に、俺が倒れた時の経緯の説明不足に因る不満などから、やや雰囲気が重かったのは事実。

 しかし、

「トコロでな、有希。俺はどれくらい寝ていて、後、どれぐらいで回復出来るか知らへんかいな?」

 今の有希から感じる気は、少し緊張しているけど、柔らかな雰囲気になって来て居ます。
 そして、現状での俺の身体の動きはかなり悪い。おそらくは、ムカデの毒が霊道にまで入り込み、多少、霊気を練る霊道自身が(けが)されて仕舞ったのだと思いますが……。

 その刹那。有希の雰囲気が変わった。
 俺に取っては悪い雰囲気ではない。むしろ、彼女は俺の事を思って、これから先の言葉を続けようとしている。
 その事が確かに伝わって来る雰囲気で。

「あなたは何も心配する必要はない」

 夢に顕われた少女たちが口にした台詞を、彼女も口にした。
 いや、もしかすると、あの夢だと思った場面はすべて彼女の台詞だった可能性も……。

「今はゆっくりと休んでいて欲しい。その間に」

 有希はゆっくりと。俺を納得させるかのように、本当にゆっくりとそう言った。
 その言葉に含まれて居るのは安堵。彼女の今の心の状態を強く表している。

 そうして、続けて、

「すべてが終わって居る」


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