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ヴァレンタインから一週間
第25話 夢
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それならば。……彼女が俺の帰還を待っていてくれたのならば、俺の口から直接説明しなくてはならないでしょう。
 あの時。化けムカデが顕われた瞬間に、何故、有希を遠くに排除してから、俺一人でムカデに対処したのか……、の理由について。

「あれはムカデ。基本的に龍の天敵となる存在や。
 基本的に龍とは、ほぼ無敵の存在。ただ、当然のように何事にも絶対はない。
 弱点の逆鱗や、有希に死ぬ直前……。命数が尽きる寸前に教えてやる約束の弱点なども有る。
 それに、天によって用意された天敵が、あのムカデと言う存在やな」

 俺の説明。そして、その説明によって、せっかく和らいでいた有希の不機嫌度が、もう一度跳ね上がった。
 いや、簡単に彼女の雰囲気が表面上に現れる違いから判るほど変わる訳は有りません。
 僅かに上げられた(まなじり)と、微かに感じる雰囲気の中に、普段の彼女とは少し違う部分が存在している、と言うだけです。

「それでは何故、自分の天敵と判っている相手に、自分一人で立ち向かおうとしたの」

 普段通りの口調なのですが、それでも雰囲気が違う有希の問い。
 それに、これは当然の疑問でしょう。何故ならば、俺が逆の立場なら、間違いなく問い掛ける質問でも有りますから。

「ヤツの武器は、強力な(アギト)とその巨体。そして、龍と互角か、それ以上のスピード。せやけどその程度のモンなど、龍に取っては大した脅威とはなり得ない。ホンマに恐ろしいのは、その毒腺から吹き出される毒液。
 並みの龍……。東洋の龍の格は、基本的には指の本数で決まる。
 俺は五本。格で言っても、龍神クラスや。
 並みの龍なら、一息で行動不能に出来たとしても、俺ならば、しばらくは持たせられる」

 彼女の質問に対する答えを行う俺。そして、その答えに因って、有希の不機嫌度が更に上昇した。もっとも、それも当然の話ですか。
 そう。この台詞は飽くまでも、しばらくは余計に持たせられるで有ろう、と言う曖昧な憶測で動いた、と白状したのですから。

 そして、現実に俺の身体は、あのムカデの毒を浴びた瞬間に致命的な被害を受けたのは動かし様のない事実。この部分を変える事は出来ません。
 化けムカデの毒と言うのは、普通の人間ならば間違いなく一呼吸。おそらく肌に触れるだけでも死亡に移行する猛毒ですからね。

「更に、俺は純粋な龍ではない。かつて……俺の御先祖の中に龍神に繋がる血を引く人物が存在していた。その血の中に潜んでいた因子が、以前に死に掛かった時に活性化して龍種としての能力に目覚めた存在。
 故に、純粋な龍と比べると能力の上では劣る部分も有るけど、当然、弱点の部分も薄められている」

 一応、ここまでの説明は、あの場での俺の行動に対する説明の前段階。基本的な事実に
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