第13話 早起きは三文の得、夜更かしは三文の損?
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私の大事な友達だよ」
「こいつが……お前の――」
銀時は、ようやく拘束から逃れ、起き上がっていくフェイトを見た。どうやら、フェイトはなのはを誘拐した訳ではなかったようだ。その証拠に、なのははフェイトを庇うように叫んだ。それが何よりの証拠だ。そして、あの目で全てが片付く。
銀時は木刀を腰に戻し、フェイトをそのままにし、なのはの方へと向う。
「なのは……無事みたいだな」
「うん、私は平気だよ」
「そうか、悪かったな……寂しかっただろ?」
視線をなのはに合わせるように銀時は方膝をつき、そっと幼い少女の頭を優しく撫でた。なのはの肌から伝わるのは優しい父親の手の感触だった。
無骨で、傷だらけで、少し男臭いが、温かくて、優しい父の手だった。そっと、なのはは頭に乗せられていた手を両手で掴み、それを自分の頬に押し当てた。そして、其処から伝わってくる感触を感じていた。
「お父さんの手……ゴツゴツしてて、傷だらけだけど、あったかくて、優しいお父さんの手……」
「おう、男の手ってなぁ皆そんなもんだ。すべすべした手なんざぁ男の手じゃねぇよ」
「お父さん……お父さん!」
声のトーンが一層強くなった時、なのはは感情に任せて銀時にとびついた。ずっと会いたかった父にようやく会えた。見ず知らずの世界に飛ばされてから、ずっと会いたかった父に会えたのだ。なのはは、回りの視線など全く気にする事なく、銀時の胸に飛び込んだ後、大声で泣いた。銀時は、自分の着物が汚れるのを構う事なく、泣きじゃくる愛娘の背中を優しく摩り、自分もまた、娘との再会を心から喜んだ。
「今の内に!」
誰もが戦意を喪失した今を好機と思い、咄嗟にアルフはフェイトの元へと急いだ。未だ意識の朦朧とするフェイトを脇に抱える。
「フェイト、此処は一旦ずらかるよ!」
「でも、なのはが……」
「今は無理だよ。此処は悔しいけど一旦退こう。今の状態じゃ無理だよ」
「う……うん!」
無念さを顔に出しながらも、フェイトはアルフに抱えられ、そのまま空へと飛び上がった。
「あ、フェイトちゃん! 待って、何処行くのぉ!」
友達が去っていくのを見たなのはが必死に呼び止めるが、その声に応える事なく、フェイトとアルフは飛び去ってしまった。追い掛ける術がない今のなのは達では、それを見送る事しか出来ないでいた。
それよりも今は……
「なのはちゃん!」
「うおぉぉぉん! 無事だったか我が妹分よぉ!」
「新八君、神楽ちゃん!」
万事屋メンバー全員がなのはとの再会を心から喜んだ。そして、互いに強く抱き合いお互いの再会を体全体で喜ぶのであった。
見ず知らずの異なる世界で、こうして万事屋メンバーが此処に勢揃いしたのである。
つ
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