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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第二章
十二話 親子対決!?速いのはどっちだ!?
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もまた、戦乱期の終盤、命を落としたからだ。聖王家の切り札にして、最大の禁じ手、“ゆりかご”と呼ばれる、起動キーとなる聖王家の人間を完全に自身の部品のとして扱い、その人物の人としての自由と権利の全てを奪い去る超兵器を起動させた事により……その運命に引きずり込まれ、歴史の裏側の闇へと、沈んで逝った。
「覇王は……クラウスはその運命を止められませんでした」
「…………」
「……(成程、ね)」
ヴィヴィオも、木の陰でそれを聞いて居たライノも、黙りこむ。
それからの事は、以前にも説明した通りである。
失う事を繰り返さない為の強さを求めて武道に身を投げ打ち、それでも悲願たる“本当の強さ”には手を届かせる事叶わぬままクラウスもまたその短い生涯の幕を閉じた。
そして、その悲願は……今を生きる、少女へと託されている。
「彼が築きあげ、磨き上げた覇王流は弱くなんかないと証明する事……それが、私の受け継いだ悲願なんです」
「…………」
其処まで聞いて、ライノはその場を離れた。
二人に気が付かれないように、林の中へと歩いて行き、少し遠回りにロッジへの道を歩き出す。
「…………」
少し二人には悪かったかもしれないが、しかし全てを聞いてしまって、それを考えないと言う事も、ライノには出来なかった。
一人の男が、生涯を掛けて願った事を、受け継ぐ少女。
形だけ見れば、それの志と決意は、確かに美しく、そして立派な物であると言えよう。しかし……それは、本当に“アインハルトにとって”良い事であると言えるだろうか?
河のように血が流れても終らぬ乱世。そんな、余りにも過酷な時代を生きた一人の男の悲願を……全く状況の違う現在を生きる、たった一人の小さな少女が受け継ぎ、果たそうと必死にその道を歩んで居る。
それは、本当に、正しい事なのだろうか?
「……はぁ」
[……マスター]
珍しく、ウォーロックが少し心配そうな声で、ライノを呼んだ。苦笑して、ライノは返す。
「……なぁ、ウォーロック」
[……はい]
「なんで、昔の男ってのはこう、面倒なもんを後の世界に残していくのかねぇ……?」
[…………分かりません]
呆れたような、諦めたようなライノの問いに、ウォーロックは小さな言葉で答えた。
────
[そろそろスターズが模擬戦始めるらしいんだ。ヴィヴィオとアインハルト連れて見に行くけど、お嬢達もどーだい?]
「「「行く行くー!」」」
ノーヴェからそんな通信が入り、図書室に居た三人は立ち上がり、陸戦場へと赴くため部屋を出る。と、その時だった。
「わぁっ!?」
少し本棚から飛び出していた一冊の本に、コロナが肩をぶつけてしまい、その本が床に落ちる。
「わわっ、ごめんなさい!」
「あらら……」
「大丈夫?コロナ?」
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