第三十二話 呉の街その十二
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「アイスとかソフトで言うとバニラよね」
「そのポジションよね」
「それになるわよね」
「ええ、そう思うわ」
まさにそれだというのだ。
「苺ってね」
「かき氷では第一よね」
彩夏もその苺のシロップをかけたかき氷を実に美味そうに食べて語る。
「やっぱり」
「そうよね、それで上の方を食べた後でね」
「下の方のシロップと完全に一緒になった氷を飲む様にして食べるのよね」
「それもいいわよね」
「そうそう、上の方のシロップがかかっていないところとも一緒に食べるのもいいけれどね」
シロップと完全に一緒になって赤くなってかなり溶けているその下の方を食べるのもまたよいというのである。
「そうよね」
「とてもね」
こう笑顔で話す。
「じゃあかき氷食べたら」
「今度はどうする?」
「そうね」
里香は携帯を出して時間をチェックして言った。
「もうちょっと歩いたらいい時間でそれにフェリーの出港も近いから」
「じゃあ島に戻った方がいいかしら」
「ええ、そう思うわ」
里香は琴乃の問いに答えた。
「今はね」
「わかったわ、それじゃあね」
「よし、じゃあこれ食ったら帰ろうな」
美優が話を決めた。
「それでお風呂入るか」
「そうね、それで汗流してまた飲んで食べてね」
景子も言う。
「先輩達とお部屋でね」
「お好み焼きの話する?」
琴乃はやや怪訝な顔になって景子に問うた。
「帰ったら」
「何か地雷原に飛び込む感じがするわね」
景子は先輩達の性格を考えてから答えた。
「それか甲子園の一塁側に巨人グッズ完全装備で飛び込むとか」
「それわかりやすい例えね」
「そんな奴いたら私だって袋叩きにするわ」
容赦なくだというのだ。
「もうね」
「そうよね、巨人だとね」
「今年は弱いけれど」
素晴らしいことにそうなのだ、巨人は無様に敗れ醜態を晒すことこそが相応しいと言える。巨人にはその姿が相応しい。
「腹立つのよね、本当に」
「そうそう、盟主風吹かせてね」
「盟主でも何でもないのにね」
「日本の癌の癖に」
巨人こそは戦後日本の深刻な病理の一端であろう。マスコミが歪なまでに権力を持ちその宣伝に踊らされる国民、そして造られた虚像を信じる愚かさ、悪事に対する鈍感さ、様々な病理を表していると言える。
その巨人が成敗される、これはこの世の摂理であるのだ。
「昨日も負けたしね」
「負けて清々するわね」
「本当にね」
間にこうした話も入れつつかき氷を食べ終えた、それでだった。
美優が四人にこう言った。
「帰るか、まあ先輩達にお好み焼きの話をするのは成り行きでいこうな」
「成り行き?」
「成り行きっていうと」
「話せたら話してな」
「それで話せない状況だったら話さない」
「そ
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