第三十二話 呉の街その十
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「それはそうだよな」
「何か高見先輩と宇野先輩って」
景子は二人の先輩達の名前も出した。
「あの人達ってお好み焼きについてかなり言いそうね」
「高見先輩岡山だけれどね」
ここで里香も言う。
「それでもね」
「お母さんが大阪人らしいから」
「喋り方も大阪だし」
「お好み焼きはやっぱりね」
「大阪よね」
「それで宇野先輩も」
この先輩については言うまでもなかった。
「広島人だからね、生粋の」
「だったらよね」
「やっぱり広島?」
「そうよね」
五人で話すのだった。もうそれに違いないというのだ。
そうした話をしながらだった、五人はお好み焼きを食べ終えた。
そしてそのうえで再び呉の商店街を歩いた、とにかく長い商店街だ。横にも様々な店があり飲み屋が多い。
そうした場所まで見てだ、琴乃は四人に言った。
「残念よね」
「ええ、こうしたお店にもね」
「入りたいわよね」
「二十歳になってからね」
それからだった、呉では。
「行きたいわよね」
「またこの町にね」
こう話すのだった、商店街の横も見て。
そこから商店街を出て呉の町も歩く、日差しは強いがからっとした暑さだ。美優はその暑さを感じて言うのだった。
「やっぱり沖縄とは違うな」
「そうなのね」
「もっと暑いよ、今の沖縄はさ」
そうだとだ、琴乃に話す。
「もっとさ」
「そうなのね」
「亜熱帯だからね」
沖縄の気候区分も言う。
「本当に暑いよ」
「ここは温帯よね、まだ」
「ああ、温帯だよ」
「暑くても」
「夏はな。瀬戸内気候だよ」
そのままそれになるというのだ、瀬戸内海独特の気候であり日本国内の気候区分の言葉のうちの一つである。
「それだよ」
「それよね」
「暑いけれどな」
「まだ温帯なのね」
「温帯だからまた違うよ」
亜熱帯とはというのだ。
「随分な」
「そうなのね」
「暑くてそこでな」
「そこで?」
「かき氷とか食うとさ」
美優はかき氷を話に出して楽しそうに笑った。
「もう凄い美味いんだよ」
「あっ、かき氷ね」
「夏はこれだよな」
「ええ、そうね」
琴乃もかき氷については笑顔で返した。
「お外で食べるのよね」
「今みたいな暑い中でさ」
「そうしたこと話してると」
ふとだ、そう感じてきたのだ。
「今もね」
「食べたくなったんだな、かき氷」
「何かね」
こう美優に答える。
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